2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of oral adsorbent consisting of activated carbon encapsulated with hollow spherical nata de coco
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22K05768
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
星 徹 日本大学, 理工学部, 准教授 (30513973)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナタデココ / カプセル化 / 吸着炭 / 尿毒症 |
Outline of Annual Research Achievements |
吸着炭内包中空球状ナタデココの安定性評価として,酸性(pH1.2),中性(pH6.8),塩基性(pH12.6)の条件での内包活性炭の留出評価を行った.pH1.2は模擬胃液として崩壊試験液第1液を,pH6.8は模擬腸液として崩壊試験液第2液を用いたin vitro条件である.ナタデココの薄膜は広範囲のpHで安定であるため,どの条件でも内包した活性炭は留出せず,消化管内のpH条件でも吸着炭内包中空球状ナタデココが安定であることを実証した. 吸着炭内包中空球状ナタデココの尿毒症毒素前駆体であるインドールの吸着を純水および模擬腸液中で行い評価した.Langmuirプロットより飽和吸着量を比較したところ,吸着量の平均値は模擬腸液中の方が低くなったが,明確に有意差があるとは言えず,インドールの吸着においては,模擬腸液中のイオンの影響は小さいことが明確になった.L-トリプトファンでも同様の傾向が見られており,現在再現性の確認中である. 吸着炭内包中空球状ナタデココは,活性炭を含むアルギン酸ゲルの表面にナタデココを産生することで調製をしている.活性炭を含むアルギン酸ゲルは,アルギン酸水溶液を塩化カルシウム水溶液に滴下することで調製するが,活性炭を多く含むアルギン酸水溶液は滴下することができず,内包量を一定値以上に多くすることが難しい.アルギン酸を用いずに,熱により溶解-ゲル化を制御できる寒天を用いることで,より容易に大量の活性炭を含む寒天ゲルの調製が可能であり,この寒天ゲルのナタデココによるカプセル化に成功した.アルギン酸を用いた場合と比較して,内包活性炭量は1.8倍程度増加した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は大きく分けて下記の3つに分けることができる. ① 吸着炭内包中空球状ナタデココのin vitroでの安定性評価:模擬胃液と模擬腸液中の安定性は評価済みである.消化酵素を含む系での安定性は今後実施予定である.また,ナタデココを形成しているセルロースナノファイバーの安定性をSEM観察により評価する予定であったが,大学内共通機器の故障により実施していない.外部機関に装置を借りることができたので,今後セルロースナノファイバーの形態観察を行う. ② 吸着炭内包中空球状ナタデココの消化管環境での吸着特性評価:インドールとL-トリプトファンの吸着評価は実施済みであり,純水および模擬腸液中での吸着特性の比較を進めている.また,製造元より市販の吸着炭を入手でき,こちらの評価も進めている. ③ 内包吸着炭量を向上させたカプセル化法の確立:アルギン酸ゲルから寒天ゲルに変更したことで,内包活性炭量を増やすことに成功した.さらなる内包量の増大を目指し,活性炭を含む寒天ゲルの水分を飛ばすことで,活性炭の密度を高めた寒天ゲルを用いた新しいカプセル化法を検討している. 以上より,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は以下の3つを計画している. ① 吸着炭内包中空球状ナタデココのin vitroでの安定性評価:消化酵素を含む模擬腸液中での尿毒症毒素またはその前駆体の吸着評価を行う.安定性評価を行った後に,ナタデココを形成しているセルロースナノファイバーの安定性をSEM観察により評価する. ② 吸着炭内包中空球状ナタデココの消化管環境での吸着特性評価:再現性の確認を行うともに,尿毒症毒素であるインドキシル硫酸の純水および模擬腸液中での吸着評価を進める.また,市販の吸着炭との比較を進める. ③ 内包吸着炭量を向上させたカプセル化法の確立:さらなる内包量の増大を目指し,活性炭を含む寒天ゲルの水分を飛ばすことで,活性炭の密度を高めた寒天ゲルを用いた新しいカプセル化法を検討する.すでに寒天ゲルからの水分の除去法を確立し,試算ではアルギン酸を用いた場合の内包量と比べて,8~10倍量の活性炭量になることを見出した.現在は,水分を除去した寒天ゲルをナタデココでカプセル化する手法を検討している.
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Causes of Carryover |
コロナウイルスおよびウクライナ問題により,分析機器や資材の納入が遅れ,残額が生じた.また,予備実験との比較および再現性の確認に時間を要したため,年度内に実施予定であった評価の一部が未実施である.再現性の確認が済み,評価方法が適正であることを確認できたため,次年度に未実施分の評価を継続し,その費用に充てる計画である.
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