2023 Fiscal Year Research-status Report
リグニン系基質吸着型酸触媒の開発による木材の糖化と糖化残渣の材料用途開発
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22K05776
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
菱山 正二郎 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00353821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 智史 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50399375)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リグノスルホン酸 / 木材糖化 / 酸加水分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、工業リグニンとして実際に市販されているリグノスルホン酸に着目し、その木材糖化における酸触媒としての可能性を検討する。市販されている工業リグニンのスルホン酸基量を増加させることで、酸触媒としての機能の増強を試みている。前年度にスルホメチル化によるスルホン酸基の導入条件の検討を行った。今年度は、触媒能と官能基量の関係を明らかにするために、導入されたスルホン酸基量を定量する手法の開発に取り組んだ。スルホン酸基の定量には伝導度測定による方法などがあるが、リグノスルホン酸の測定では、カルボキシ基との分離が明確でないという問題があったことから、安定同位体である13C化合物による誘導体化と定量NMR測定を組み合わせた手法の開発を試みた。その結果、スルホン酸基の他にもカルボキシ基や各水酸基を個別に定量できる条件を明らかにした。カルボキシ基は定量13C-NMR測定で51-54ppm付近にブロードなシグナルとして検出でき、水酸基に関しては側鎖水酸基が57-55ppmの範囲で検出できた。また、縮合型と非縮合型のフェノール性水酸基を分離して定量できることが明らかになった。しかしながら、スルホン酸基の定量に関しては、誘導体の構造安定性に起因すると推測される問題があり、現在改良法の開発に取り組んでいる。また実際の単離リグニンによる検討の他に、高分子のリグニンに比べてより構造が明確な、低分子のリグニンモデル化合物を用いた新規スルホン化反応の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題担当者二名の研究企画(支援)部門への人事異動により、研究活動に費やす時間が例年に比べ減少しているものの、おおむね順調に進行している。市販リグノスルホン酸の化学修飾に加え、リグニン部分構造を有するモデル化合物の反応について検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
工業リグニンとして生産されているリグノスルホン酸の化学修飾による改質リグノスルホン酸の必要量合成と、それらを用いた木材糖化試験を検討する。
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Causes of Carryover |
メーカー在庫切れにより年度内納品が困難な試薬について、次年度購入することとした。
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