2022 Fiscal Year Research-status Report
Research for anti-termite chemicals using terpenoids produced by fungal cytochrome P450monooxygenase recombinant yeast.
Project/Area Number |
22K05778
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Research Institution | Miyazaki Prefectural Wood Utilization Research Center |
Principal Investigator |
須原 弘登 宮崎県木材利用技術センター, その他部局等, 主任研究員 (90423540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一瀬 博文 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00432948)
加藤 政和 宮崎県木材利用技術センター, 材料開発部, 技師 (90966582)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 木材保存処理 / シロアリ / テルペン / セスキテルペン合成酵素 / シトクロームP450 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では真菌類の持つ多様な代謝能に着目し、そのうち抗蟻活性が多く報告されているテルペン類を生産・代謝可能な遺伝子の機能を利用して、新規な抗蟻性テルペンを発見することを目標としている。 本研究ではセスキテルペンを生産可能なセスキテルペン合成酵素(STS)とこれを代謝可能なシトクロームP450(CYP)の遺伝子を酵母に組み込みライブラリ化したものをもちいて、テルペンを合成・代謝させ、これにより得られたテルペンの抗蟻性を評価する。 今年度の取り組みでは7種の糸状菌から得た86種のSTS遺伝子を組み込んだライブラリを用いて、これらの中よりセスキテルペン生産能の高い11クローン(AbSTS-07, AvSTS-01, LnSTS-20, PcSTS-03, PcSTS-08, PcSTS-03, PoSTS-06, PoSTS-11, PoSTS-16, PpSTS-14, TvSTS-12)を選抜し、これらについて、テルペン生産及び生産されたテルペンを用いた防蟻性能試験(JIS K 1571)を行った。 その結果、対照として用いた抗蟻性が知られているフェルギノールでは無処理に対する食害率が7.1%まで低下した(食害阻害率は92.9%)。これに対し、残念ながら今回用いたクローンでは、最も食害量が少なかったものが、α‐ビサボレンを生産するPcSTS-08の食害率75.2%(食害阻害率は24.8%)であり、無処理に対して食害阻害率50%以上の防蟻性能を示すクローンは見出だせなかった。また、死虫率、虫体重量変化からも、今回用いたクローンの産物には、食害阻害活性、殺蟻性のいずれの活性もないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題では糸状菌が有するSTS、CYPをライブラリ化したものを用いて、STSによりセスキテルペン合成を、CYPによりSTSが生産したセスキテルペンまたは天然物由来のテルペンを代謝させたものを用いて防蟻性能を評価することを目的としている。 初年度はSTSライブラリのみを用い、これらのクローンが生産するセスキテルペンについて評価を行う計画としていた。本年度についてはその内、生産能の高い11クローンについて検討を行った。本来なら本年度中に繰り返し試験まで行う計画であったが、テルペン生産に遅れが生じたことと、イエシロアリ虫体の確保が充分ではなかったことから、繰り返し試験までは行えなかった。このため、研究の進捗に遅れが生じている。 当初予定では、次年度はSTS-CYPを組み合わせたクローンを用いて、STSにより生産したセスキテルペンをCYPで代謝したセスキテルペン代謝物について検討を行う予定としているが、この試験と併せて、今年度未検討のその他のSTS高生産クローンが生産するセスキテルペンと、本年度検討したクローンの繰り返し試験にも取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今回用いた11クローンの防蟻性能試験はそれぞれ試数が1であることから、今後はまず実験の再現性評価のため繰り返し試験を行う。併せて、今年度用いたもの以外のテルペン生産能の高いSTSクローンからのテルペン生産と、これを用いた防蟻性能試験を行う予定である。その後、STSで生産したテルペンをCYPで代謝させることができるSTS-CYP組み換え酵母を用いて、セスキテルペンを部分的に代謝させたものを生産し、防蟻性能試験を行う。これにより防蟻性能を付加または強化できる可能性がある。 さらに、これまでに防蟻性能が報告されているフェルギノール1)は酸化が進むことで、より殺蟻性の高い6,7-dehydroroyleanoneやシロアリ摂食阻害活性および抗菌活性の強い14-deoxycoleon Uなどに変性するとされている2)。幸いにも当研究室では別の研究テーマにおいてフェルギノール精製物を多量に得ることができていることから、この精製フェルギノールをはじめとするいくつかのテルペン類をCYPのみを組み込んだライブラリを用いて代謝させ、抗蟻(殺蟻)活性の強化または付与を試みたい。 本研究の遂行にはイエシロアリ虫体の確保が重要であるが、これまで設定していた試験区のいくつかが、台風や防砂林整備のため使用が困難な状態になっている。今後は新たなイエシロアリの営巣地の探索や、これまでに見つけたイエシロアリのコロニーの活性維持に努め、研究遂行に支障が出ないよう心掛けたい。 1)狩野仁美ほか. (2004) 木材学会誌 50:91-98. 2)Kusumoto, N.ほか. (2009) Journal of chemical ecology, 35, 635-642.
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