2023 Fiscal Year Research-status Report
紅藻スサビノリにおけるエチレン前駆物質による炭素・窒素代謝バランスの制御
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22K05779
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宇治 利樹 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (00760597)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アマノリ / 植物ホルモン / C/Nバランス / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、水産重要種であるスサビノリを材料とし、植物ホルモンの1種であるエチレンの前駆物質、1-アミノシクロプロパンカルボン酸(ACC)がどのような機構により、生体内の炭素と窒素のバランス(C/Nバランス)を制御し、生長、生殖、ストレス応答などをコントロールしているかを明らかにすることを目的としている。 令和5年度は、CHN analyzerにより、ACC処理した藻体におけるC/N比を測定した結果、葉状体においては、コントロール区7.27、ACC処理区6.61となり、ACC処理藻体においてC/N比が低くなることが明らかとなった。一方、糸状体においては、コントロール区5.57、ACC処理区5.75となり大きな違いは見られなかった。 また、令和4年度に実施したACC応答性遺伝子の網羅的な発現プロファイルの解析結果から、糸状体におけるACCの役割として、異化作用を促進し、同化作用を抑制することが考えられた。この現象は長期間の暗期条件下で見られる応答と類似している可能性が考えられた。そこで、長期間の暗期条件下での遺伝子発現解析を行い、ACC応答性遺伝子の発現プロファイルと比較したところ、ACC処理により増加がみられた遺伝子群は50%が、減少がみられた遺伝子群は77%が共通していた。共通していた応答としては、分岐鎖アミノ酸の分解、プロテアーゼの活性化、光合成系の抑制などがあげられる。 さらに、ACC応答性遺伝子の遺伝子発現制御にエピジェネティックな制御が関連しているかを明らかにするため、small RNA解析手法やクロマチン解析手法の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海藻におけるACCの役割は不明な点が多いが、スサビノリ糸状体におけるACC応答性遺伝子群と長期間の暗期条件下での遺伝子群が類似していることが明らかとなり、ACCの役割として異化作用を促進し、同化作用を抑制することで窒素源の再配分を制御している可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
ACC応答性遺伝子の遺伝子発現制御がどういったものなのかを明らかにするため、small RNA解析やクロマチン解析を行う予定である。また、今年度ACC測定のための設備が研究室で整備される予定であるため、様々な環境条件で培養した藻体内のACC含有量を測定する計画でいる。
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