2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K05785
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
片山 亜優 宮城大学, 食産業学群, 准教授 (00740218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 裕 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(塩釜), 主任研究員 (80371805)
藤井 豊展 東北大学, 農学研究科, 准教授 (40897485)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ホタテガイ / 餌料環境 / 微細藻類 |
Outline of Annual Research Achievements |
宮城県五部浦湾に位置する飯子浜養殖場の環境が異なることが予想される4か所に観測点(St.2、3、4、10)を設定した。各地点にホタテガイを耳吊り法により垂下し、2022年4月から2023年2月に調査した。水深を上層(5m)・中層(10m)・下層(15m)の3層に分けた。毎月の調査時に、個体識別した各水深10個体のホタテガイの殻高と死亡個体数を測定、海洋物理環境の鉛直観測(水温・塩分・溶存酸素・濁度・クロロフィルa等)および上層・下層に流向流速計を設置し連続観測することで、流況観測を行った。ホタテガイの生産性は、各定点で異なっており、湾口近くに位置するSt.2で8月から3月に死亡率が高く、殻の成長も他地点より有意に低く推移した。成長の停滞や死亡率増加の要因となり得る水温、クロロフィル a濃度と生産性との関係はみられなかった。 ホタテガイの餌料環境を把握する目的で、2022年4月から2023年2月に同地点で月に1度、採水し、植物色素分析に供した。また2022年6月、9月には次世代シーケンサーにより出現種を同定した。海水中の微細藻類の出現種は各地点で同様であった。観測期間中、珪藻が常に優占しており、全体の6割強を常に占めていた。特に春季ブルームの3月から4月は8割以上となっていた。また、6月に採取したセジメント・トラップと、付着珪藻についても同様の解析を行い、種レベルまで同定した。 餌となる微細藻類の季節的な出現量・種組成の変化は認められたが、観測地点間では餌料環境に差は現時点では認められなかった。観測地点の位置や流向流速などの物理条件等にもホタテガイの生産性は影響されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
濾過食性二枚貝としてホタテガイおよびマガキを対象とする予定である。2022年はホタテガイを中心として季節変化を捉えるため、毎月の調査を実施し、予定通りのサンプルを得ることが出来た。本課題では4つの分析手法を用いて解析を行うが、今年度得たサンプルに関しては2022年に採取したサンプルは分析が終了している。2022 年度にはこれらの研究の進展がみられ、次年度につなぐ準備も進行中であるため、研究の進捗は、概ね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに調査、サンプリングを実施出来ている。引き続き、調査を行っていく。分析の進捗状況も順調に進展している。そのため、今後は宮城県女川湾だけでなく、ホタテガイの生産が盛んな青森県陸奥湾へも調査範囲を広げていく。2022年度に得られた結果を基に、今後はホタテガイ養殖に適した餌料環境、その餌料環境をもたらす物理条件の同定に取り組んで行く。
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Causes of Carryover |
本年度実施した海洋観測の連続観測のための観測機器の設置において、毎月2回の観測機器の清掃が必要であり、傭船料を計上していた。しかし、ホタテガイの調査時に同時に清掃を行うことができたため、当初予定した予算よりも使用額が少なかった。2023年度は毎月1回のホタテガイの調査を予定しており、もう1回分を清掃のために傭船する必要がある。このことから、2023年度、2024年度も引き続き観測費用として活用する予定である。
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