2023 Fiscal Year Research-status Report
アサリ幼生期の摂餌環境が稚貝以降の生残・成長に与える影響
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22K05795
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
井上 誠章 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(神栖), グループ長 (50713880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多賀 悠子 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(神栖), 研究員 (40737318)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 二枚貝 / アサリ / RNAseq / 餌料 / トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
アサリ母貝から人工採卵を行い、活発に摂餌を行うD型幼生期以降に餌料となる植物プランクトン濃度を、①摂餌が十分にできる濃度(飽食区:20000 cell/ml)、②飽食区の20分の1濃度(飢餓区)、③無給餌(高度飢餓区)に設定して飼育試験を行い、経時的に幼生をサンプリングした。これを試料として用いて次世代シーケンサー(NGS)によるRNA-seqによりトランスクリプトーム解析を行ったところ、飢餓区と無給餌区は類似の遺伝子発現パターンを示し、さらに飢餓・無給餌区と給餌区で有意に変化する遺伝子群(DEG)を特定した。DEGについてパスウェイ解析を実施したところ、飢餓・無給餌区と給餌区では、特に代謝に関わる「Metabolic pathway」の遺伝子群の発現の低下が特徴的であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トランスクリプトーム解析において、摂餌環境マーカー候補となる遺伝子群の働きを特定し、その生体内機構を推定した。遺伝子の発現変化を調査するために、各区の幼生からのRNA抽出が終了した。以上から、総合的にはおおむね順調に進んでいると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
飢餓マーカー遺伝子群の遺伝子応答をリアルタイムPCR等により解析し、飢餓ストレスによって引き起こされる生体内機構を推定する。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンサー(NGS)によるRNA-seq解析は委託により実施したが、当初想定していた委託金額よりも低価格であったため、繰り越した。繰越金は遺伝子発現解析のサンプル数の拡充や解析環境の充実に充てる。
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