2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a portable fishway system suitable for the upstream migration of salmon and trout
Project/Area Number |
22K05812
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Research Institution | Kagawa National College of Technology |
Principal Investigator |
高橋 直己 香川高等専門学校, 建設環境工学科, 准教授 (70706580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 和義 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (70431343)
園田 武 東京農業大学, 生物産業学部, 助教 (70424679)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 環境保全 / 河川生態系 / 遡上阻害 / 魚道 / カラフトマス / サケ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,サケ(Oncorhynchus keta)やカラフトマス(Oncorhynchus gorbuscha)の移動特性と魚道内の水理特性を複合的に検討し,産卵遡上に有効で,必要に応じて速やかに現場に導入できる魚道システムを提案することである. 本研究で開発した可搬魚道システムは,人力で運搬可能な魚道ユニットを連結することで魚道を形成する.この仕組みにより,洪水などで魚道が破損した場合でも,問題が生じたユニットを取り替え,速やかに機能を回復できる.2023年度の現地実験では,実験対象地に魚道システムを導入し,前年度と同様にカラフトマスとサケが提案魚道システムを利用して遡上可能であることを目視およびビデオ撮影による観察にて確認した.また,実験対象地(魚道を利用しなければカラフトマスとサケが遡上することは極めて困難な堰堤)の上下流にて環境DNAを採取した結果,提案魚道システムを利用してサケが上流へ移動していることを示唆する分析結果が得られた.加えて,この実験対象地よりも複雑な河床形状を有し,かつ川幅の広い現場にて実施した実験においても,約4時間の観察時間中に36匹のサケが遡上するという良好な成果が得られた.室内実験では,分析対象とした第2ユニットにて,下流側ユニットに向かう流速の大きな流れと低流速域の存在が明確に確認できた.流量が増加した場合も,水深・流速の分布特性に変化はみられず,サケ・マス類にとって遡上と休憩の両方を行いやすい流況が形成されていると考えられた.以上のように,2023年度の研究にて,本魚道システムの河床形状,川幅,流量に関する適用範囲を拡張することができた.今後の研究では,魚道構造の改良に加え,特にカラフトマスを対象とした環境DNA分析を継続することで,現場における可搬魚道システムの導入効果をより詳細に検証する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の研究にて,目標としていた可搬魚道システムの設計・試作,魚道内水深・流速特性の解明,現地実験における対象種の遡上・降下および魚道内での挙動の確認を概ね達成することができた.また2023年度の研究にて,本魚道システムの河床形状,川幅,流量に関する適用範囲を拡張することができた.一方で,現場における魚道システム導入の効果検証のための環境DNA分析について,2023年度では,目視およびビデオ撮影による観察では遡上が確認されているカラフトマスの環境DNAが検出されなかった.サケに関しては明確な分析結果が得られていることから,カラフトマスに関する環境DNA採取日時点で,現場周辺まで遡上したカラフトマスの個体数が少なかったことが,カラフトマスの環境DNAが検出されなかった原因であると考えられる.この点については,2024年度のサケ・カラフトマスの遡上期にて,魚道システム導入前後の時期に研究対象の遡上阻害地点上下流部における採水を再度実施し,環境DNA分析による魚道の設置効果検証を試みる.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,室内実験と現地調査・実験を並行して実施することで,提案魚道システムの水理特性と魚道システム導入の効果検証に関する研究をさらに進める.2022年度の研究にて,提案魚道内を対象種が移動した際の水深・流速分布が明らかになった.また,遡上入口周辺を対象として流速特性を分析した結果,流速および流向の観点から傾斜側壁の設置がサケ・マス類の遡上入口への誘導に寄与することが示唆された.加えて2023年度の研究にて,本魚道システムの河床形状,川幅,流量に関する適用範囲を拡張することができた.一方で,本魚道システムにおいて重要な傾斜側壁周辺の流れと魚類の挙動については,現時点では詳細に分析できていない.2024年度は,この点に着目した室内実験を実施し,提案魚道システムの水理特性を解明する.現地調査・実験においては,目視とビデオ撮影による魚道内および魚道周辺における対象種の挙動の観察,および魚道システム導入前後の時期における研究対象の遡上阻害地点上下流部での採水と環境DNA分析を継続し,傾斜側壁周辺での魚類の行動特性を解明すると共に,魚道システムの導入効果を検証する.
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Causes of Carryover |
現場における魚道システム導入の効果検証のための調査について,2022年度は目視およびビデオ撮影による観察を行い,環境DNA分析は2023年度以降に実施することになった.また,出水等による魚道の破損が発生せず,2023年度には魚道のメンテナンスに関する支出がほとんど無かった.環境DNA分析については,2023年度の研究にて実施することができ,サケについては良好な成果が得られている.また,地域の協力により,2023年度から研究対象となる遡上阻害地点(堰堤)を1箇所増やすことができている.次年度使用額については,特にカラフトマスを対象とした環境DNA分析の継続,および2箇所に拡張された研究対象地での実験装置のメンテナンスのための費用として支出する.
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Research Products
(1 results)