2022 Fiscal Year Research-status Report
脂質酸化酵素リポキシゲナーゼによる魚類香気の生合成機序
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22K05828
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
河邉 真也 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 講師 (60579415)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リポキシゲナーゼ / cDNAクローニング |
Outline of Annual Research Achievements |
魚類のリポキシゲナーゼ(LOX)遺伝子の遺伝子情報を得るために、cDNAクローニングに取り組んだ。また、魚類遺伝子発現解析の基盤を構築するために、内部標準遺伝子に用いる伸長因子(EF-1α)のcDNAクローニングを試みた。海産魚類の鰓からRNAを抽出し、逆転写反応を経て一本鎖cDNAを合成した。LOX用の縮重プライマーは、哺乳類LOXの一次構造と一部の魚類ゲノム情報を基に、種を超えて保存されているアミノ酸配列を得て設計した。EF-1α用の縮重プライマーは、哺乳類から酵母まで保存されている一次構造から設計した。RT-PCR法により、ウマヅラハギとマサバの鰓から、哺乳類の12S-LOXに相同性を持つcDNA断片とEF-1αのcDNA断片を得ることに成功した。PROSITEを用いたモチーフ検索を行ったところ、魚類LOXの断片配列は、アミノ酸配列の全体にわたってLIPOXYGENASE_3(リポキシゲナーゼ鉄結合型触媒ドメイン)が認められ、LOXの酵素活性に必須な非ヘム鉄の結合に重要である3つのヒスチジン残基が保存されていることが分かった。次に転写開始点を含む完全長cDNA配列を得るために、cDNA断片配列から遺伝子特異的プライマーを設計し、5’-および3’-RACEによる完全長cDNAクローニングを試みた。転写開始点の決定には、oligo-capping法を採用した。全RNAのCIPとTAP処理とそれに続くT4 RNA ligaseによる合成オリゴの導入後、逆転写反応に供することで5’-キャップ構造を持つ完全長mRNAのみからRACE-ready cDNAを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、十分な感染防止対策を講じる必要性が生じ、作業時間の短縮を余儀なくされた。RACE-PCRまで進める予定であったが、RACE-ready cDNAの構築に留まったため、進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、構築したRACE-ready cDNAを用いてRACE-PCRを実施し、完全長cDNA配列の取得を試みる。転写開始点を同定した後は、ゲノムウォーキング法により転写開始点より上流のゲノムDNA領域の解析を実施し、プロモーター領域の情報を得る。また、LOX酵素の機能解析を行うために、無細胞系の翻訳システムの構築に取り組む。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症への対策を講じるため、予定していた一部の実験が実施できなかった。次年度に予定しているRACE-PCRのシーケンス解析費用にあてる予定である。
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