2022 Fiscal Year Research-status Report
サンゴ共生藻の増殖制御に関与する低温ショックドメインタンパク質の機能解析
Project/Area Number |
22K05837
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉原 静恵 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 助教 (20382236)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | cold shock protein / 褐虫藻 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、褐虫藻(Breviolum minutum, Bm)の遺伝子発現解析から、転写因子cold shock protein (CSP)が褐虫藻の増殖促進に関わる可能性を示唆する結果を得た。本研究では、2種類のBmCSP(BmCSP1、BmCSP2)による増殖促進の分子機構を明らかにすることを目的とする。 2022年度、以下3つの計画を立て、実施した。①BmCSPタンパク質の大腸菌発現系構築と核酸結合解析の実施、②BmCSPを発現するシロイヌナズナの作出、③BmCSPの核酸結合領域(cold shock domain, CSD)をシロイヌナズナCSP3 (AtCSP3)のCSDと置換したAtCSP3_BmCSD(AtCSP3_BmCSD1)を発現するシロイヌナズナの作出 計画①:BmCSP1タンパク質(282 amino acids)は、タグなしでは大腸菌で発現しなかったが、Glutathione S-transferase (GST, 226 aa)融合タンパク質として発現、精製することができた。2021年度に実施したChIP-seq解析から見出したBmCSP1の結合標的配列(12 baseから成る10種類)の配列を合成し、結合活性を調べた。現在、1種類の1本鎖DNAと結合することを確認した。 計画②:BmCSP1を35Sプロモーターの下で高発現するプラスミドを作成し、アグロバクテリウム方を用いてシロイヌナズナCSP3欠損株(Atcsp3)に導入した。現在、薬剤耐性の獲得を指標として、形質転換体の選抜を行っている。 計画③:BmCSP1のCSDをもつAtCSP3を35Sプロモーターの下で高発現するプラスミドを作成し、アグロバクテリウム方を用いてシロイヌナズナCSP3欠損株(Atcsp3)に導入した。現在、薬剤耐性の獲得を指標として、形質転換体の選抜を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、2種類の褐虫藻CSP(BmCSP1、BmCSP2)による増殖促進の分子機構を明らかにすることを目的としている。2022年度、以下3つの研究計画を実施した。計画①:BmCSPタンパク質の大腸菌発現系構築と核酸結合解析の実施、計画②:BmCSPを発現するシロイヌナズナの作出、計画③:BmCSPの核酸結合領域(cold shock domain, CSD)をシロイヌナズナCSP3 (AtCSP3)のCSDと置換したAtCSP3_BmCSDを発現するシロイヌナズナの作出 BmCSP1について、計画①ではGST融合タンパク質の大腸菌発現系を構築し、純度90%以上のGST-BmCSP1タンパク質を得ることができた。核酸結合解析を行うにあたり、転写因子の核酸結合解析で広く用いられているM13mp18との結合を調べる計画を立てていたが、2021年度に実施したChIP-seq解析からBmCSP1の標的候補配列(12 baseから成る10種類)を得ることができたため、これらの配列を合成して結合活性を調べた。その結果、BmCSP1は少なくとも1種類の1本鎖DNAと結合することを確認できたため、生体内における標的遺伝子を推測するなど、BmCSP1の具体的な機能解析が期待される。計画②BmCSP1を発現するシロイヌナズナの作出と、計画③のAtCSP3_BmCSD1を発現するシロイヌナズナの作出は、現在、形質転換体の選抜を行っており、順調に進んでいる。しかし、BmCSP2を褐虫藻cDNAライブラリーからクローニングすることができていないため、やや遅れていると報告する。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、2種類の褐虫藻CSP(BmCSP1、BmCSP2)による増殖促進の分子機構を明らかにすることを目的としている。2023年度は、以下に示す④、⑤を計画している。計画④:計画②と③では、低温感受性を示すシロイヌナズナAtcsp3株にSmCSP1、またはSmCSP1のCSDをもつAtCSP3(AtCSP3_BmCSD1)を導入した。これらの形質転換体を選抜し、BmCSD1、またはAtCSP3_BmCSD1がAtcsp3株の低温感受性に与える影響を解析し、BmCSP1の機能を評価する。計画⑤:計画④でAtcsp3株の低温感受性を相補した株を用いてmRNA-seq解析を実施し、BmCSD1、またはAtCSP3_BmCSD1の導入によって発現が変動した遺伝子を抽出する。2022年度に実施したChIP-seq解析結果と合わせて、褐虫藻におけるCSP1の機能、既知のCSPの機能との普遍性について考察する。 BmCSP2について、褐虫藻cDNAライブラリーからのクローニングは困難であったため、受託DNA合成を利用してBmCSP2の計画を進めている。BmCSP1と同様に、以下の計画を進める。計画①:BmCSP2タンパク質の大腸菌発現系構築と核酸結合解析の実施、計画②:BmCSP2を発現するシロイヌナズナの作出、計画③:BmCSP2の核酸結合領域(cold shock domain, CSD)をシロイヌナズナCSP3 (AtCSP3)のCSDと置換したAtCSP3_BmCSD(AtCSP3_BmCSD2)を発現するシロイヌナズナの作出
|
Research Products
(2 results)