2022 Fiscal Year Research-status Report
新型感染症パンデミックが食生活に与えた影響:自然実験と時空間統計に基づく因果推論
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22K05850
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松田 敏信 鳥取大学, 農学部, 教授 (40301288)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 内食・中食・外食需要 / 緊急事態宣言 / 時空間解析 / 自然実験 / 中断時系列デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言を自然実験とみなし,緊急事態宣言の内食・中食・外食需要に対する因果効果を明らかにすることである.そのために,月別・都市別の時空間データに一般化加法モデルの需要関数を適用することでアウトカムの時空間相関を考慮した上で,中断時系列デザインによる因果推論を行った.分析の結果,緊急事態宣言発令の効果として,発令前と比べて外食需要は74.0~89.6%減少したのに対して,内食需要は17.4~19.7%増加し,中食需要は5.7~10.6%増加したこと,また内食・中食・外食需要いずれについても,緊急事態宣言の実施期間が最も長い都市類型で効果の絶対値が最も大きいことがわかった.さらに,緊急事態宣言発令によって一旦変化した需要は,宣言解除によって発令前の状態に完全に戻ったわけではないこと,なかでも中食需要は,その手軽さからか,宣言解除後も特に減少しにくいことが示された.本研究では,時差が小さいほど時間効果が類似していることと,距離が小さいほど空間効果が類似していることを同時にモデルに反映させた結果,より現実的な因果推論が可能になったといえる.もともと食料のなかで最も代替されやすいという外食の性質も相俟って,緊急事態宣言発令という未曽有の外生的ショックにより,外食から内食や中食へ大規模な需要のシフトが起こったと考えられる.本稿における因果効果の推定結果は,国や地方自治体による飲食店への支援施策に一つのエビデンスを与えるものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一定の研究成果を出し,研究成果を学術雑誌に出版する準備を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
さらに精緻なモデルとデータを用いて,分析を深化させていく.
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Research Products
(3 results)