2022 Fiscal Year Research-status Report
災害下の地方FSCの行動原理と戦略的意思決定の解明-効率性と頑強性の視点から-
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22K05866
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
種市 豊 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (40640826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平児 慎太郎 名城大学, 農学部, 准教授 (00391425)
小林 富雄 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60592805)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 基幹型 / 抹消型 / 地域循環型流通 / フードサプライチェーン / 災害輸送 / エッグショック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2022年に次のことまで解明している。 (1)「抹消型(農山村・地方量販店)」の関係性は、つぎのとおりであった。①直売所を基とした野菜流通は、巡回集荷や短距離輸送の成立が重要であるとした。②地方採卵養鶏業と地方量販店の関係は、短距離輸送の成立と、量販店が拠点事業者となることが重要となる。そのため、地方食品産業と量販店の関係性は、バイイングパワーのみならず、信頼やコミュニケーションに基づくチャネル管理を行っている点が明らかとなった。 (2)物流体制の解明・・・現時点であきらかになっている点は、①短距離輸送は、多頻度で行うことが現実問題困難であること、②災害復興のための特別な輸送体制を組んでいる地域が少ないことなどがあげられた。 (3)貨客混載のあり方・・・農山村ー直売所までの貨客混載のあり方を明らかにした。高齢者の出荷補助的役割であった。実際は、あらゆる世代に評価されている。このことから、直売所出荷では、輸送に関する生産者の負担が非常に高いことが明らかとなった。 (4)現段階からいえること・・・・現時点において、地方流通の頑強さ(ロバスト)を解明するに至っていない。昨今のエッグショックや輸送費の値上がりに対応するために、地域循環型流通の重要さがどこまであるのかは、はっきりしている。しかし、輸送業者の問題、特に輸送費が物不足に与える影響や2024年問題が与える影響がどこにあるのかまで、十分な結果を出せていない。2023年に輸送の専門家やさらに農協調査を進めてゆきたいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査先の受け入れなどに困難になったことから、調査旅費の未使用額が生じた。2023年は、コロナが5類相当になることや、2022年度に調査依頼をかけた産地から調査受け入れの許可が出たことから、調査を進めたい。このことにより、調査旅費を使用計画通りに使途したいと考える。主な調査先候補であるが、本年度は、調査が困難であった北海道、東北、兵庫県の山陰部、長崎県への調査をすすめる。 次に、エッグショック調査では、東京に存在する日本養鶏協会や全農たまごなどといった基軸機関への調査を積極的にすすめたい。同時に年度末には、学会報告を進め、論文投稿への道筋をつけたいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年は、農協や輸送企業、貨客混載を行っている産地に焦点をあてたい。また、エッグショックなどの物不足と輸送との関係性を明らかにしてゆきたいと考える。 (1)岩手県葛巻市、洋野町、島根県益田市、大田市などへ調査を進めたいと考える。当該地区は、生乳の送乳コストの高騰などで新たな対策を打たなければ、地域農業の継続をも危ぶまれるおころである。具体的には、生産価格が高騰している畜産物(鶏卵・生乳)の輸送コストは、地域循環・短距離流通が成立した場合、どこまで効率化・商品価値の向上・地域農業の貢献ができるのか?も同時並行で進めてゆきたい。 (2)青果物の流通問題では、兵庫県三田市など貨客混載を継続的に行なっている地区にあらためて、確認調査をしたい。 これらのことを総括的にまとめ、論文執筆へ進めてゆきたい。
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Causes of Carryover |
(1)2022年度は、コロナ禍により、リモート調査が主となった。ようやく、対面調査・現地検討に漕ぎ着けたのは2023年1月からである。 (2)2023年(旅費)は、リモート調査では十分に把握できなかった内容、遠方に在住している物流研究者との内容検討、新たな調査の実施を行う。2022年度での遅れは、2023年度中に計画的に取り戻したいと考える。
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Research Products
(6 results)