2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K05867
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大崎 優 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 講師 (80784420)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 酒造好適米 / 清酒 / 日本酒 / 市場の失敗 / 農産物検査 / 酒米 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、酒造好適米市場で発生している市場の失敗の要因を解明し、酒造好適米の需要と供給を適切に紐づける仕組みを構築することである。 上記の目的を達成するために、R4年度は高知県内の酒造メーカー、JA高知県米穀部へのヒアリング調査を実施した。酒造メーカーのヒアリングでは、酒造好適米の化学的な性質に対する考え方に加え、胴割れ米(砕米)への対応に関する考え方が明らかとなった。これは既存研究においてしばしば指摘されていることであるが、依然、改善なされていないことが明らかとなった。そのため、当初予定になかった搗精機(精米機)メーカー2社のヒアリングを実施し、酒造好適米の搗精に関する調査を行った。2社のヒアリング結果から、搗精技術(搗精機の能力)は年々向上しており、さらに搗精機メーカーは多様な品質の酒造好適米に対応した搗精が行える仕組みを整えていることが明らかとなった。そのうえで、胴割れ米(砕米)の発生が改善していない点については、乾燥・調整といった搗精前段階が重要であることが示唆された。 本年度の研究によって、高知県の酒造メーカーの現状や課題を浮き彫りにしつつ、新たな取引の仕組みについて検討を行うことが出来た。当初検討していた化学的成分を品質に導入する仕組みについても方向性を定めつつ、議論を深めることが出来た。これらを具体的な仕組みとして導入するためにも、過去のアンケート結果も踏まえた論文を発表予定である。 またR5年度は高知県だけにとどまらず、酒造好適米及び日本酒生産の先進地域である広島県を対象に、酒造好適米生産者及び酒造メーカーの調査を行う。すでにR4年度にJA広島米穀部及び生産者に対して事前のヒアリング調査及びアンケート調査を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた高知県内全酒造メーカーのヒアリング調査はコロナウイルスの影響からか全メーカーから回答を得ることが出来ず、18社中6社にとどまった。併せて、全生産者アンケートも実施が延期となった。 一方で、当初計画になかった搗精機メーカーの調査が実施できたことは、本研究において非常に重要な分析の視座を得られたと考えられる。 また、広島県での調査準備は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度は広島県のJA広島米穀部及び広島県酒造組合の協力を得て、広島県内の酒造好適米生産者及び酒造メーカーに対する調査を実施する。高知県内の酒造メーカーおよび生産者の調査と比較することで、地域的な特徴や普遍的なものについて明らかにしていく。 また研究協力者のネットワークを活用し、北海道で酒造好適米を生産するホクレンや生産者へのヒアリング調査を予定している。 そして、最も重要な酒造好適米の農産物検査について、農林水産省やJAへのヒアリング調査を通じて、現状把握を行ったうえで、改善に関する検討を行って行く。
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Causes of Carryover |
高知県内での生産者アンケートが実施できなかったため、アンケート調査票の発送及び学生への謝金支払いが行われなかった。また酒造メーカーのヒアリングも応じてもらえないメーカーが当初予定より多かったため、旅費の残額が生じた。 高知県内生産者のアンケートはR5年度に実施予定であるため、執行予定である。
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