2023 Fiscal Year Research-status Report
汎用性の高い田んぼダム評価モデルの簡易構築手法の開発
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22K05884
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
宮津 進 新潟大学, 自然科学系, 助教 (30757844)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 田んぼダム / 内水氾濫解析モデル / 計算セル自動生成 / 常射流混在計算 / 排水路縦横断情報推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
流域治水への貢献が期待される田んぼダムの洪水被害低減効果を河川流域単位で迅速且つ容易に評価できる汎用性の高い解析手法を確立すべく,2023年度は,2022年度に開発した《要素研究-1》計算セルの自動生成手法,および《要素研究-3》常射流混在流れ対応型田んぼダム評価モデルを6流域(北海道倉沼川流域・牛朱別川流域,山形県槇川流域・石子沢川流域,三重県安濃川流域,秋田県丸子川流域)に適用し,計算セルの作成時間および計算精度に与える影響の検証事例の蓄積を図ることで,山地部から平野部に跨る流域の内水氾濫現象を一体的に解析できる汎用性の高い解析手法の確立を目指した.加えて,2022年度に氾濫解析モデルを構築した2流域(栃木県田川流域・姿川流域)を対象として,《要素研究-2》排水路縦横断情報の簡易推定手法の開発に着手した. 《要素研究-1》および《要素研究-3》で開発した解析手法を上述の6流域に適用した結果,従来法と比較して,計算セルの作成時間を全ての流域において約1/100程度に縮減できることが示された.また,各流域の既往最大降雨イベントの再現計算を行った結果,全ての流域において河川水位および浸水範囲の実測値を良好に再現できることが示された.これらのことから,田んぼダムの効果の評価に資する汎用性の高い解析手法の確立に大きく前進したと言える. 《要素研究-2》排水路縦横断情報の簡易推定手法を開発すべく,上述の2流域を対象に各水路地点の集水面積と排水路断面および田面-排水路底間標高差の関係を整理した.しかし,両者の間に有意な関係は認められなかった.先行研究および2023年度に新たに氾濫解析モデルを構築した全18流域を対象とした更なる検証が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの要素研究のうち2つ(《要素研究-1》田んぼダム評価モデルの計算セルの自動生成手法の開発,《要素研究-3》常射流混在流れ対応型田んぼダム評価モデルの開発)は,当初の計画を超えて順調に進展している.一方で,《要素研究-2》排水路縦横断情報の簡易推定手法の開発については進捗が遅れているため,2024年度に重点的に取り組む予定である.そのため,“おおむね順調に進展している”と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,《要素研究-2》排水路縦横断情報の簡易推定手法の開発に注力する.本要素研究では,田んぼダム評価モデルが構築されていて地形勾配等の地理的特徴の異なる18流域を対象として,各水路地点の集水面積を基に排水路断面および排水路底の標高を推定し,排水路の縦横断データを簡便に推定する手法を開発するとともに,計算精度に与える影響を検証する. また,《要素研究-1》および《要素研究-3》で開発した常射流混在流れ対応型田んぼダム評価モデルについては,その検証事例を学術誌に2編投稿し,成果の公表を目指す.
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