2023 Fiscal Year Research-status Report
多深度高頻度長期時系列観測データの分析による淡水レンズ地下水資源かん養特性の解明
Project/Area Number |
22K05893
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
白旗 克志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, グループ長補佐 (10648281)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 淡水レンズ / 時系列連続観測データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,淡水レンズが分布する島嶼の観測孔に自記計を設置し,地下水位,淡水部分からその下位の遷移域にかけての多数深度の電気伝導率(EC),水面直下の温度を10分~30分間隔の高頻度で連続的に観測して得られた観測データと降水量データを分析し,(1)淡水レンズ観測データの時系列変化に含まれる異なる周期の変動成分の解明,(2)短時間の降雨強度変化に対する淡水レンズ厚さの応答特性の解明,(3)長期間の降水量に対する淡水レンズ厚さの応答特性の解明とかん養率の推定を行う。 計画する3年の研究期間のうち2年目である本年度は,前年度に開始した設置型観測機器による地下水観測を切れ目なく継続することに注力した。観測機器のメモリ容量を考慮し,2023年7月,同11月,2024年3月にそれぞれ沖縄県多良間村現地において,淡水レンズ分布域にある地下水観測孔に設置している自記水位計・多深度自記EC計・自記温度計について観測データ回収と次期間の観測開始などの管理作業を行い,2024年3月時点で18ヶ月を超える時系列連続観測データを取得した。また2023年7月には同島の淡水レンズを対象として携帯型測定機器を用いた多数観測孔の水位・EC一斉測定を行い,淡水レンズ全体の分布状況を確認した。設置型機器による観測で得られた地下水位と電気伝導率の時系列連続観測データに,ともに潮汐の影響によると考えられる周期的な変動が恒常的に認められたことは,3年目に行う周期変動成分の包括的な定量分析に先立つ定性的な分析結果と言える。また自記温度計による観測データには,地域気象観測システムのデータに降水が記録されているタイミングにあわせて急な温度上昇または下降が捉えられており,地下での連続温度観測によって降水や地下水かん養のタイミングを検知できるという本研究の前提の検証となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の特徴である多深度高頻度観測データが計画どおり欠測なく得られ,得られた時系列データの予察的な観察によって次年度の分析において特に注目すべき周期変動成分が明らかに認められたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年次となる次年度は,現地観測を継続しながら観測データの整理とグラフ化を進め,周期変動成分の定量分析,短時間の降雨強度と長期間の降水量に対する淡水レンズの応答の分析を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度使用額はほぼ当初計画どおりとなったことから前年度未使用額が概ねそのまま次年度使用となったため。バッテリー切れなどで継続使用不可となった一部の観測機器のバッテリー交換等に用いる予定。
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