2022 Fiscal Year Research-status Report
FIP対応型バイオガスCHP運用モデルの開発とBGP設計への適用
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22K05899
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
石川 志保 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (30539804)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | バイオガス / CHP / バイオガスプラント / 出力制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィードインプレミアム(Feed-in Premium:FIP)制度に対応したバイオガス熱電併給システム(Heat and Power,以下CHP)の運用モデルを構築するため,系統接続された実機のバイオガスCHP(発電出力:150kW)2台の実データを収集した。なお,このバイオガスCHPは同一メーカの同規模CHPユニットの新旧モデルとなっている。バイオガスCHPの動的特性に関わる実データは,研究代表者の既往研究において一部は明らかにされているが,対象としたCHPは本研究の推進ために新たに計測したCHPユニットであり,酪農場のふん尿管理を目的として導入されたバイオガスプラント(北海道江別市)に設置されているものである。対象としたバイオガスCHPでは,起動・停止の動特性,バイオガスCHPへの指令発令値をステップ状に変化させたときの出力応答を計測した。また通常運転時の運転データについても収集した。既往研究の成果に加えて新たに計測した実データに基づいて,「自家消費型」および「地域内消費」に対応するバイオガスCHPの運用モデルを構築した。モデルの構築にあたっては,例えば災害発生時などを想定して計測時期を変化させた連続試験を実施した。さらに,今後の再生可能エネルギー電源の導入拡大によっては,将来の電源構成において全体の需給調整能力の不足も懸念されることから,バイオガスCHPの運用性向上のために,出力変化速度を上げるあるいは最低出力の下げ出力変化幅を大きくするなどの技術開発の可能性についても研究協力者らと検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,動特性解析に基づくバイオガスCHPの運用モデルを開発することを計画していた。それに対して,本研究は研究代表者の既往研究の成果である多種多様なバイオガスCHPの動的特性の成果を直接活用するとともに,新たにバイオガスCHP(2台)の動的特性試験を実施し,成果を展開することで,バイオガスCHPを制御領域内においてより効率的な運用を可能とするモデルの構築を達成した。さらに,構築した運用モデルを展開して,バイオガスCHPの運用性向上に必要かつ効果的な出力変化速度あるいは出力変化幅の検討について具体的な目標設定が可能となった。 以上より,本年度は概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は,構築したバイオガスCHP運用モデルに汎用性を持たせるため,季節や時間帯,地域条件などの運用条件を変化させながら実機を用いた連続試験を国内およびドイツで実施し,モデルの有効性を評価する。並行して,地域活用電源機能を備えたバイオガスプラントの高度利用化の検討として,設備構成(CHPユニットの適切な設備容量,設置数,ガスバッグ容量)やエネルギーシステムモデルの想定をシミューションにより行う。また,北海道を対象にバイオガスCHPを含めた導入可能な再生可能エネルギー電源容量がどの程度増加させられるかを評価する。さらに,バイオガスのアップグレード化,例えばバイオメタンや水素社会を想定した利用モデルを想定し,その導入効果あるいは経済性の評価(価値)について,得られた結果を取りまとめ成果の発表を国内外で行う。
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