2022 Fiscal Year Research-status Report
河川堆積物及び懸濁物のアノマリーデータから予想される流域内土砂流出量の期待値分布
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22K05938
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
角野 貴信 公立鳥取環境大学, 環境学部, 准教授 (50511234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嵐 淳 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主席 (30421697)
山本 敦史 公立鳥取環境大学, 環境学部, 准教授 (40332449)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 土壌侵食 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は鳥取県の千代川流域(鳥取市、八頭町、智頭町、若桜町)の11地点にて試料採取を行った。2019年~2021年に採取した試料に加え、2022年6月に採取した試料も加えて解析した結果、懸濁物質中の二酸化チタン含量は、周辺地質が花崗閃緑岩・デイサイトの地点で採取された試料において、その他の周辺地質の試料よりも有意に高い値を示した。二酸化ケイ素含量は、周辺地質が変成岩の地点で採取された試料において周辺地質が花崗岩の試料よりも有意に高い値を示した。また、地点別では、酸化アルミニウム、酸化クロム(Ⅲ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素含量で有意差がみられた。また、全X線カウント数と懸濁物質含量においても地点間での有意差がみられた。周辺地質との関係は、土砂流出との関係で慎重に解析する必要があるものの、4年間のデータ蓄積から、千代川本流の源流に近い地点における湧水中の懸濁物質の特異性と、支流の源流域に近い地点における河川水中の懸濁物質の特徴を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、河川から得られた懸濁物質中に含まれる金属含量をエネルギー分散型蛍光X線分光光度計を用いて測定したほか、溶存陰イオン、陽イオン含有量を高速イオンクロマトグラフィーにより測定した。一方、十分な懸濁物質量が得られなかったことから、有機物質の定量や組成を明らかにし、同位体データベースを作る当初の目的を達成するまでには至らなかった。降水量分布を地理情報システムを用いて流域全体についてデータベース化し、懸濁物質量を予測する地理空間モデルはすでに開発済みであるものの、周辺地質を考慮したモデルへの拡張にやや時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も、採取頻度と共に、採取する試料の量をさらに大幅に増加させることにより、より多くの懸濁物質を得られるよう工夫する。また、懸濁物質中に含まれる有機物含量や有機物組成を分析することにより、上記の支流以外で試料の組成に影響を及ぼす自然由来の土壌有機物の検出を行う。早急に研究実績において述べたデータを十分に説明するような周辺地質を考慮した地理空間モデルの開発を終え、国内外のジャーナルへの投稿を行う。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、河川から得られた試料中の溶存物質だけでなく、濾過して得られた懸濁物質中に含まれる金属含量のほか、粘土含量や有機物組成を調べる予定であったが、既存の報告から予想された値よりもかなり固相重量が小さかったことから、懸濁物質に関して非破壊で測定可能な金属含量を半定量するなど、測定項目が予定より少なくなってしまったため。
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