2023 Fiscal Year Research-status Report
Remediation of PPCPs by macromolecular lactone degrading bacteria
Project/Area Number |
22K05941
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
松井 徹 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (90372812)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生分解性 / 環境浄化 / 微生物 / PPCPs / 合成ムスク |
Outline of Annual Research Achievements |
1.エチレンブラシレート(EB)分解菌のスクリーニング 海洋中に拡散した汚染物の分解を目的として高塩濃度下での分解菌スクリーニングを行った。大学周辺土壌を用いた集積培養によるスクリーニングを2回行った結果、1回目は、4株の候補株が分離され、Klebsiella sp., Pantoea sp.と同定された。しかし、いずれも5%NaCl存在下での資化性が認められず、非耐塩性であった。γプロテオバクテリアのEB分解菌としては初めての分離例である。2回目のスクリーニングでは、候補株9株中5株が耐塩性EB分解菌であった。16SrRNA配列による分類から、2株はStaphylococcus sp., Bacillus sp.と同定されたが、3株は未同定であった(現在検討中)。保存菌株からのEB分解菌の予備スクリーニングを行った結果、アルカン資化性細菌1株に資化性が認められたため、スクリーニング対象を広くして検討中である。 2.分解メカニズムの解明 昨年度分離同定したEB分解菌について各種大環状ラクトン構造を有する合成ムスクに対する資化性を評価した結果、菌株による分解スペクトルの差が認められた。いずれもケトン化合物に対する資化性はなかったが、EBのみを分解する株とその他のエステル化合物を広く分解する株に分類された。休止菌体反応による分解性の比較から、資化性の違いは、初発段階のエステル加水分解/リパーゼ活性の基質特異性の差によるものと考えられた。 EB分解菌およびEB分解候補菌について次世代DNAシーケンサ(Pacbio)によるドラフトゲノム解析を行った。アノテーション結果からエステラーゼ/エステラーゼ遺伝子の抽出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.エチレンブラシレート(EB)分解菌のスクリーニング: EB分解菌のスクリーニングを3回行い、多様なEB分解菌を分離することができた。2.分解メカニズムの解明:EBだけでなく広い範囲での大環状ラクトン系合成ムスク分解が可能であることを見出し、微生物による環境浄化の可能性が示唆された。次世代シーケンサによるゲノム解析、分解関連遺伝子情報を得ることができた。本年度は、基本データの取得に努めたため、学会発表は行わなかったが、本年度までのデータを基本とした論文発表、機能解析を進める予定である。以上のことから、当該年度計画事項に関しては概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.分解関連遺伝子解析-EB分解菌および高塩濃度EB分解菌について次世代シーケンサによるゲノム解析を継続して行い、その結果から、エステル分解酵素遺伝子の抽出、遺伝子組換えによる発現と分解特性検討を行う。各種大環状ムスク化合物分解性との相関を行い、リパーゼと分解活性相関を明らかにする。 2.分解活性の向上-EBを唯一の炭素源とした培養法では、菌体増殖が制限されることから分解効率が思わしくない。糖類を生育基質としてEBの分解を並行させることで分解活性の向上を期待できる。糖類の資化性を広く検討するとともに糖類+EBの複合基質による分解活性の向上を試みる。 3.分解微生物群による複合基質の分解-環境中での分解挙動を知るために、合成ムスク基質を混合し、本研究での分解菌を用いた複合基質の分解経過を解析する。各種基質の分解の優先順位、分解微生物を混合した場合の残存性と培地組成の関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により学会発表を控えたため、学会参加費分が減少した。また、分解メカニズム解明を目的とした分離菌のゲノム解析を行ったため、直接経費として使用した。 次年度は、老朽化のため、代謝中間体の分析のために使用するHPLCポンプ部品等の新規購入が必要となる。次年度使用計画(概算)学会参加(国内2名、1回)100,000(計画通り)消耗品等1,900,000(計画増)計2,000,000
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