2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment and spread of the new assay for sperm flagellar function to improve artificial insemination results in the cattle
Project/Area Number |
22K05951
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原山 洋 神戸大学, 農学研究科, 教授 (30281140)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 昭雄 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 准教授 (70397818)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 応用動物 / ウシ / 人工授精 / 精子 / 鞭毛運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
○ NCXs阻害剤SN-6またはPNCAs阻害剤Caloxin 2A1で処理された新鮮射出精子におけるローテーション(R)運動の発生状態の観察結果は,SERCAsだけでなくNCXsもR運動の発生を制御する[Ca2+]iの調節に機能することを示唆した。 ○ カリクリンA(CL-A)処理された新鮮射出精子においてR運動を伴うF-HAの発生状態を経時的に観察したところ,F-HA率が20%を越えるのに要する処理時間の違いより精子サンプルを早期型と遅延型に区分できた。またThapsigarginやOchratoxin Aを用いた実験により,両区の間に存在するSERCA活性の差異がR運動を伴うF-HAの発生速度に差を生じさせることを示した。 ○ PLA2阻害剤Palmityl trifluoromethyl ketoneが新鮮射出精子でのR運動およびR運動を伴うF-HAの発生状態に及ぼす影響を観察したが,PLA2がSERCAsの上流制御因子として機能することを示す結果を得られなかった。 ○ 凍結保存精子でのF-HAの誘起実験において以下の結果を得た。CL-Aの好適な濃度と処理時間はそれぞれ10 nMおよび1~2時間, F-HA精子の大部分の運動様式はR運動を伴う3次元運動,鞭毛運動調節因子GSK-3αはCL-A処理依存的に減少することで,精子内でのGSK-3αの低活性を不可逆的に維持,R運動を伴うF-HAの観察には浅型チャンバー(20 μm以下)は不適で,深型チャンバー(50 μm)の使用が必要 ○ R運動を伴うF-HAの発生を制御するCa2+チャネルを探索するため,CatSperおよびSOCの阻害実験をそれぞれHC056456およびYM-58483を用いて行い,発生制御にCatSperは機能しないが,SOCは抑制的に関与する可能性を示唆した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題①(実施期間:令和4年度当初~5年度末)約70%の実験計画をすでに終えており,多くの成果を得ている。しかしSERCAsの上流制御因子と予想したPLA2に関する研究では期待通りの結果を得られなかったことから,下流分子を含めての解析対象の見直しが必要である。 課題②(実施期間:令和4年度後半~5年度末)実験用サンプルの凍結保存精子(7頭分)の準備を完了した。またR運動を伴うF-HAの誘起条件およびその観察に使用可能なチャンバーの条件を示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
課題①(令和4年度当初~5年度末)未検討課題であるGSK3活性の調節分子の探索を開始する。また有望な成果が得られているCa2+チャネルに関する研究について,機能解析を積極的に実施する。 課題②(令和4年度後半~5年度末)および③(令和5年度当初~6年度末)実験サンプルの準備をすでに完了していることから,実験を計画通りに進める。また得られる成果を考慮して研究計画を適宜見直して,効率よく成果を得るための工夫を試みる。 課題④(実施期間:令和5年度)日本繁殖生殖学会サテライトシンポジウムについては9月24日(日)に神戸大学農学部において実施予定であり,その広報活動を積極的に行う。
|