2022 Fiscal Year Research-status Report
イミダゾールジペプチドの死後骨格筋における生理機能の解明
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22K05965
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 徹 北海道大学, 農学研究院, 助教 (20705173)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | イミダゾールジペプチド / 食肉 / 筋原線維 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、死後骨格筋におけるカルノシンの生理的な役割を明らかにすることを目的とし、筋収縮を伴う死後硬直およびタンパク質分解を伴う解硬現象におけるカルノシンの影響について検討する。 当該年度では、死後の骨格筋細胞内環境を再現した条件下におけるアクトミオシンATPase活性へのカルノシンの影響について検討した。低pHおよび低カルシウムイオン濃度条件下で、カルノシンの添加による分解活性が向上することを確認できた。さらに、in vitro実験系においてアクトミオシンによるATP分解時に生じる超沈殿と呼ばれる現象についても検討したところ、低pH条件においてカルノシン添加により沈殿の形成が早く、このことからもカルノシンがアクトミオシンのATP分解を亢進していることが示唆された。これらの結果は、死後の細胞内環境の変化においても、カルノシンが筋収縮を補助していることを支持する重要な知見となり得、死後硬直現象の解明に向けた一歩である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備的に行っていた実験だったこともあり、実験手技としても安定した結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
カルノシンの死後硬直現象への関与について明らかにするため、筋原線維を用いたATPase活性の測定を実施する。これまでの抽出・精製したタンパク質を試料とするわけではないため、測定方法および条件の調整が必要であると考える。また、顕微鏡を利用した実験にも着手する。 カルノシンのタンパク質分解への影響についても着手し、申請時の計画よりも前倒しで検討を進められるよう努力する。
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Causes of Carryover |
申請時はデジタルマイクロスコープを購入予定であったが、既に保有していた顕微鏡に高解像度カメラを設置できることがわかり、カメラの購入のみで済んだため。その差額分を次年度に繰り越し、カルシウムイオン濃度測定用の機器の購入に充てる予定である。
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