2022 Fiscal Year Research-status Report
暖地型イネ科・マメ科混播草地の造成と管理方法の検討並びに土壌共生菌活用方法の検討
Project/Area Number |
22K05971
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
飛佐 学 宮崎大学, 農学部, 教授 (30332844)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 暖地型マメ科牧草 / 生産性 / 根粒菌 / アーバスキュラー菌根菌 / 共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,暖地型マメ科草を組み入れた効率的な草地管理利用法を確立することを目標に,南九州地域で利用可能な暖地型マメ科牧草を選定するため,8種の暖地型マメ科牧草を2カ所の試験地(黒ボク土壌または砂質土壌)で栽培し,定期的に乾物収量,根粒着生,アーバスキュラー菌根菌(AM菌)の菌根形成状況などを調査した。試験地間の比較を行ったところ,9月の乾物収量では共通してファジービーン(Pb),クロタラリア(Cn)が高く(いずれも1年生草),グリーンリーフデスモディウム(多年生草)が低かった。またサイラトロ(多年生草)は黒ボク土壌の試験地より砂質土壌の試験地で高い値を示した。根粒形成は,1草種を除く他の7草種で確認でき,両試験地共に着生根粒乾物重はPbおよびCnが他の草種より高かった。AM菌の菌根形成は全ての草種で確認され,両試験地共に草種間の差は認められなかった。本研究により,黒ボク土壌と砂質土壌での暖地型マメ科牧草の根粒およびAM菌の菌根形成状況が明らかになった。 次に種子成長袋を用いて,上記栽培試験で高い収量を示したPbを用い,根粒菌・AM菌の接種が初期生長や根粒菌・AM菌の共生関係に及ぼす影響について検討した。根粒菌の有無の2水準(+R,-R),AM菌の有無の2水準(+AM,-AM)の処理を設け,インキュベーター内で栽培した。根粒形成は処理13日目に確認され,菌根形成は21日目に確認された。処理21日目に-R・+AM処理で高い菌根形成率を示し,根粒菌が存在しない場合,菌根形成が促進されることが推察された。本研究の条件下では根粒菌・AM菌の接種はPbの生長の過程に一時的に影響を与えたが,乾物重に影響を与えなかった。また,根粒・菌根の形成時期を比較すると,根粒の形成の方が菌根形成よりも早いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圃場試験においては,2試験地域において新規導入暖地型マメ科牧草の特性,根粒形成状況,菌根形成状況を調査,検討することができ,ほぼ計画通りに実施できた。ポット(種子成長袋)試験においては,初期生育時の根粒形成とアーバスキュラー菌根菌の菌根形成の時期がおおよそ確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
圃場試験においては,昨年度に造成したマメ科草地の越冬性について検討する。また,2試験地域において生産性に一貫性が見られなかった草種も存在したことから,本年度においても同様の試験を行い,生産性,根粒形成,菌根形成状況,家畜飼料としての栄養成分の評価などから,南九州地域での栽培利用の有望な草種の選定を行う予定である。ポット試験においては,暖地型マメ科牧草(圃場試験で供試した草種)を用い,リン施用量が牧草の生育に及ぼす影響について調査すると共に,根粒形成,菌根形成,植物体内窒素およびリン含量等について詳細な調査を行い,植物と根粒および菌根の関係について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
一部の調査(菌根形成状況についての詳細な調査)を年度内に実施できなかったため,次年度に実施予定で,調査に必要な試薬や器具等を購入する予定である。
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Research Products
(1 results)