2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K05976
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
坂井 勇介 久留米大学, 医学部, 助教 (70711266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩澤 誠司 久留米大学, 医学部, 教授 (10447039)
佐藤 貴弘 久留米大学, 付置研究所, 教授 (50368883)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 体サイズ / 成長因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
矮小マウスの矮小形質発現時期を明らかにする 矮小マウスの矮小形質発現時期を解明するために、矮小マウスと正常マウスの胎児をμCT装置で経時的に撮影する予定であるが、その前に、各胎齢のマウスを摘出し、ノギスと天秤を用いて体長と体重の測定を実施することとした。まず、E14.5胎児を母親から取り出し、各胎児の体長と体重を測定した。その後各胎児の尾をシーケンス解析により正常マウスと矮小マウスに区別した。その結果、体長も体重も矮小マウスの方が低い傾向が見られ、成長ホルモンが産生される以前から矮小マウスは矮小形質を示すことが確認された。今後はE14.5前後の胎児に関しても測定を行い、矮小形質の発現時期をより詳しく検討する。 タグ付きCREBBPマウスを作製する 胎児期におけるCREBBPの高発現部位と胎齢を明らかにするために、His-CREBBPマウスの作製を試みた。エレクトロポレーション法によりゲノム編集を行った受精卵のうち、8個の受精卵からDNAを抽出し、PCRで増幅させ、シーケンス解析を行った。その結果、全ての受精卵に遺伝子配列の変化が確認された。また、同時にMCHマウスへの受精卵の移植も行い、8匹の新生児を得た。これらの新生児の尾を用いたシーケンス解析の結果、遺伝子配列の変化が起きていたのが8匹中5匹であった。その中でWT/KIと考えられたメスをWTのオスと交配させてWT/KIと思われるF1産子を得た。念のため、これらの産子のtail DNAをクローニングし、シーケンス解析を行いWT/KIであることを確認した。現在は、WT/KIであるF1オスマウスとF1メスマウスを交配させ、妊娠を待っている状況である。理論的にHis-CREBBPホモマウスは1/4の確率で生まれてくるはずで、このホモマウスを用いて胎児期におけるCREBBPの高発現部位と胎齢を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
矮小マウスの矮小形質発現時期を解明するために、矮小マウスと正常マウスの胎児をμCT装置で経時的に撮影する予定であるが、現在のところ上手く撮影できていない。そのため、まずは母親から各胎齢の胎児を摘出し、ノギスと天秤を用いて実際の体長と体重の測定を実施した。その結果、E14.5では体長も体重も矮小マウスの方が低い傾向が見られ、成長ホルモンが産生される以前から矮小マウスは矮小形質を示すことが確認された。今後はE14.5前後の胎児に関しても測定を行う。 矮小マウスの原因遺伝子であるCREBBPは胎生前期に多く発現し、E15.5以降は徐々に低下することをRT-PCRによって明らかにした。具体的にどの胎齢のどの部位でCREBBPタンパクは高発現するのかを解明するためにゲノム編集技術を用いて、EGFP-P2A-CREBBPマウスの作製を試みた。マウス体外受精によって得られた受精卵にエレクトロポレーション法を用いて遺伝子導入を行い偽妊娠マウスに移植したところ、新生児を得ることができたが、いずれも相同組換え修復は成功しなかった。そこで代替案として、導入遺伝子が短いHis-CREBBPマウスの作製を試みた。受精卵にゲノム編集を実施し、偽妊娠マウスに移植して得た新生児でシーケンス解析を実施したところ、一部相同組換え修復が成功した。その後の交配により、近くHis-CREBBPホモマウスが完成する予定である。これまでの移植マウスが妊娠しないという問題は改善したが、食殺するという問題は依然として解決できていないため、実験の遅れが生じた。 CREBBPの下流で働く分子群を明らかにするために、胎児期の骨成長に関与しそうな複数の分子について、E14.5の矮小マウスと正常マウスの頭蓋骨と四肢を用いてRT-PCRを実施した。その結果、IGFBP2およびBMP-7において矮小マウスでの発現量が有意に低かった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度はE14.5胎児の体長と体重を測定した。E14.5の矮小マウス胎児はすでに矮小傾向を示しているが、有意差は出なかった。今年度は、E12.5、E13.5、E15.5、E16.5、E17.5などの胎児の体長と体重を測定し、矮小形質の発現時期を明らかにする。 一昨年度実施したCREBBP抗体を用いた免疫染色法では染色がやや弱いと感じられた。そのため、より正確にCREBBPの発現部位を明らかにするためのEGFP-P2A-CREBBP マウスおよびHis-CREBBPマウス作製を引き続き行う。EGFP-P2A-CREBBP マウスは手法に改善が必要であるが、His-CREBBPマウスの作成については順調である。 一昨年度、E15.5胎児の頭蓋骨や四肢では、IGFBP2およびBMP-7がCREBBPの下流で機能していることが示唆された。今年度は、上記のEGFP-P2A-CREBBP マウスまたはHis-CREBBPマウスによって明らかにしたCREBBPの高発現時期の高発現組織を用いて、IGFBP2およびBMP-7に関連した遺伝子群や骨成長関連遺伝子群について、マイクロアレイ法等を用いて解析する。その結果をもとにパスウェイ解析を行い、CREBBPの下流の詳細なシグナル伝達機構を明らかにする。
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Causes of Carryover |
昨年度行う予定としていたCREBBPの下流シグナル伝達機構の解明は、タグ付きマウスの作製の遅延により実施することができなかった。そのため、予定していたマイクロアレイキットやデータ解析に必要な予算を執行できなかった。
これらは本年度行う予定であるため、昨年度生じた「次年度使用額」は使用する予定である。
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