2022 Fiscal Year Research-status Report
犬のクッシング病の臨床的多様性を生み出す遺伝子多型とステロイドプロファイルの解析
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22K05980
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
永田 矩之 北海道大学, 獣医学研究院, 特任助教 (80897786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池中 良徳 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (40543509)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クッシング症候群 / 遺伝子多型 / ステロイドプロファイル / 副腎皮質機能亢進症 / 犬 |
Outline of Annual Research Achievements |
ステロイドホルモンの過剰による様々な症状を特徴とする犬のクッシング病において、診断と治療を困難にする原因の一つである臨床像の多様性を規定する因子について解析を進めた。 ステロイドホルモン関連遺伝子の多型とステロイドプロファイルの変化が犬のクッシング病の臨床的多様性を生み出すという仮説を基に、本年度は主に健康犬のステロイドホルモンについて検討を行った。これまでの研究で確立した液体クロマトグラフィー・ トリプル四重極質量分析法(LC-MS/MS)による血中ステロイドホルモン網羅的測定法を用いて、コルチゾール、コルチゾン、コルチコステロン、プロゲステロン、17-OHプロゲステロン、デオキシコルチコステロン、11-デオキシコルチゾールを含むステロイドホルモン11種を測定した。明らかな疾患を持たない健康犬の血中の各ステロイドホルモン濃度を測定し、犬種間で比較することで、犬種によるステロイドプロファイルの多様性について検討した。3種類のステロイドホルモンにおいて犬種間で有意な差が確認され、犬種ごとにステロイドプロファイルが異なる可能性が示された。また、夾雑物が多いことにより正確な測定が困難であった尿中のステロイドホルモン分析についても、新規カラムを用いることで高感度かつ高精度な定量分析法を確立した。健康犬の尿において各ステロイドホルモンと尿中クレアチニン濃度を測定し、各ステロイドホルモン/クレアチニン比の参考基準範囲を設定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の柱の一つである遺伝子多型解析には着手できていないが、もう一本の柱であるステロイドホルモン分析に関しては、これまでの研究で犬種ごとにステロイドプロファイルが異なる可能性を示すことができた。また、血清中だけでなく尿中のステロイドホルモン測定法を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
健康犬に加えて臨床症例のステロイドホルモン分析を行うとともに、遺伝子多型解析に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
遺伝子多型解析に関する条件設定に時間を要しており、解析を実施できなかったため次年度使用額が生じた。条件設定の完了次第、遺伝子多型解析を進める予定である。
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