2022 Fiscal Year Research-status Report
家禽におけるツルヘルペスウイルス病原性発現機構の解明
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22K05990
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤本 佳万 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (20613631)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 家禽 / ヘルペスウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
鹿児島県出水平野は、県内最大の養鶏産地であることから、家禽感染症に対して特に警戒が必要な地域である。同地域には毎年多くのツル科鳥類が飛来しており、これに伴いツルヘルペスウイルスも侵淫していることが近年の疫学調査で明らかにされた。家禽におけるツルヘルペスウイルス感染症の流行は報告されていない。これまで本ウイルスの詳細な性状解析は実施されておらず、その解明は養鶏産業の防疫対策を進める上で重要な課題である。本年度は、ニワトリに対するツルヘルペスウイルスの病原性の解明を目的として、感染実験を実施した。 初生ニワトリ雛および1週齢ニワトリに対するツルヘルペスウイルス5591Scl株の接種実験を実施した。ウイルス接種試験の結果、三種のいずれの接種経路においてもニワトリに致死的感染が認められたが、脳内接種経路、筋肉内接種経路および鼻腔内接種経路の順でその発病率が高く、感染経路による病態の差がみられた。死亡したニワトリから主要臓器を採材し、各臓器中のウイルス含有量をリアルタイムPCRで測定した結果、脳におけるウイルス含有量が最も高い事が明らかとなった。他の臓器においてはウイルス核酸が検出されなかったものの、予備的な組織学的検索の結果、脳の他にも肝臓や脾臓などにウイルス増殖によると考えられる壊死斑が観察された。 以上の結果、ツルヘルペスウイルスはニワトリに様々な経路から感染することが可能であり、また病原性を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していたニワトリ接種実験を実施することが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ツルヘルペスウイルスに感染したニワトリからのウイルス排泄や同居感染の可能性を検討し、本ウイルスの家禽産業に対するリスクを総合的に評価していく。また、ウイルス感染機序を明らかにするため、分子生物学的手法を用いた実験を進めていく。
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Causes of Carryover |
感染実験におけるニワトリの飼育期間が想定より短く、飼育管理費用が少額であった。次年度は、引き続き感染実験を実施するとともに、組織破砕装置を購入して効率よく実験を進めていく。
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