2023 Fiscal Year Research-status Report
家禽におけるツルヘルペスウイルス病原性発現機構の解明
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22K05990
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤本 佳万 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (20613631)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 家禽 / ヘルペスウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度実施したツルヘルペスウイルス(CrHV)感染実験の結果、本ウイルスはニワトリに病原性を示すことが明らかとなった。病原体の感染防御には病原体の感染様式や増殖様式に関する情報が必須であるが、現在のところCrHVの感染様式に関する報告はない。今年度はCrHVの受容体を同定する研究に着手した。 CrHVは、αヘルペスウイルス亜科に分類される可能性が高い事を以前実施した遺伝子解析から明らかにしている。また、単純ヘルペスウイルスやオーエスキー病ウイルス等のαヘルペスウイルスは、感染受容体のひとつであるヒト由来ネクチン-1を可溶型にしたhNectin-1Igを発現するVero細胞で大きく感染効率が落ちることが知られている。ウイルス接種実験の結果、CrHVもNectin-1Ig/Vero細胞での感染効率が野生型Vero細胞と比較して抑制されたことから、CrHVの感染受容体はネクチン-1である可能性が示唆された。次に、カモ線維芽細胞から核酸を抽出し、PCRにて増幅したカモ由来ネクチン-1(dNectin-1)遺伝子を蛋白質発現プラスミドにクローニングした。作製プラスミドをVero細胞に導入し、恒常発現細胞を作製した。dkNectin-1が発現していることをウエスタンブロッティングおよび蛍光抗体法により確認した。dkNectin-1/Vero細胞を用いたCrHV感染試験の結果、野生型Veroと比較して感染効率に変化は見られなかったが、プラックサイズが顕著に大型化することを明らかにした。以上の結果から、カモ由来ネクチン-1はCrHVの必須の感染受容体ではないものの、感染後のウイルス増殖等の増幅効率には関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度計画していたカモへのウイルス接種実験は、生産業者からの種卵提供が困難であったため、実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Nectin-1のCrHV増殖に関わる機能を明らかにするため、内在性蛋白質ノックアウト細胞等の樹立も試み、感染効率の変化を調べていく。また、CrHVを接種したニワトリは重篤な症状を示すため、感染個体からのウイルス排泄を調べてCrHVの伝播経路を明らかにする。
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Causes of Carryover |
生産業者の都合により予定していたカモへの接種実験が実施できなかったため、提供可能な生産業者を検討して実験を進める。また、超低温冷凍庫の故障により一部サンプルを破棄したことにより、研究の進捗に遅れが生じたために計画通り実験を実施することが出来なかった。次年度は研究に必要なサンプル貯蔵機器を購入して実験計画を進めていく。
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