2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of real-time animal infectious disease mathematical modelling research platform by the analysis of past epidemics
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22K05992
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
蒔田 浩平 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (40588133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 亮介 北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 准教授 (10746952)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 感染症数理モデル / 豚流行性下痢 / 牛伝染性リンパ腫 / 地方自治体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、獣医疫学者と数理科学者が協力することにより、公表情報や地方自治体などに蓄積された動物感染症の発生情報を用いて数理解析をする。これにより感染症数理解析の研究基盤を形成し、地方自治体等の職員と共同研究することで、わが国の家畜感染症対応能力を向上させる。 初年度である昨年度は、2013年10月に鹿児島県で発生し、全国に拡大、多くの豚の命を奪った豚流行性下痢を第一の対象疾病とした。鹿児島県に二回出張し、本研究への理解を得るとともに当時の流行データならびに養豚農家の感染拡大疑い因子に関する情報の整理を依頼した。昨年度は全国で過去最大の鳥インフルエンザ流行があり、鹿児島県も最大級の防疫努力が必要とされたため、また全国和牛共進会の開催もあり、年度内にデータを受け取ることが出来なかった。2023年4月にはデータを受け取っている。 昨年度はさらに、全国の牛群に広く浸潤する牛伝染性リンパ腫について、北海道総合研究所畜産試験場と共同研究を開始した。試験場職員が2013-2021年に掛けて継続した全頭検査の結果を入手し、各牛の感染状態の推移をまとめた。本病は感染後、ウイルス感受性牛で速やかにプロウイルス量とリンパ球が増多し、高プロウイルス量状態になる。一方抵抗性牛では、一時的にプロウイルス量が増加しても、リンパ球数とプロウイルス量は低く抑えられる。これから数理モデルを用いてリンパ球増多症牛がそれ以外の感染牛と比較してどの程度感染力が高いか定量化する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
豚流行性下痢の流行および疫学データを依頼した鹿児島県にて、昨年度全国和牛共進会があり、また全国で過去最大の鳥インフルエンザの発生が見られたことから、データ整理を依頼した県庁職員が業務過多で対応が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
鹿児島県における豚流行性下痢のデータが得られたことから、感染を助長したと考えられる共同堆肥舎や家畜排せつ物運搬業者の共同利用によって、感染が拡大した様式を正確に再現する。 また牛伝染性リンパ腫については、リンパ球増多症牛の感染性を定量化する。これにより正確な制御オプションの評価が出来るようになる。さらに北海道庁とも連携を進め、地域の本病制圧のあり方について検討できるよう調整を進める。
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Causes of Carryover |
初年度に鹿児島県の全国和牛共進会と全国で過去最大となった鳥インフルエンザ発生の影響で論文執筆ならびに英文校閲が間に合わず、次年度使用額が生じた。一方、鹿児島県における豚流行性下痢ならびに北海道の牛伝染性リンパ腫の解析がすでに始まっており、本年度は英文校閲、論文掲載料で支出が追い付く見通しである。
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