2023 Fiscal Year Research-status Report
猫遺伝性多発性嚢胞腎の個体別重症度・進行度の差異のメカニズム解明
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22K06000
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小林 沙織 岩手大学, 農学部, 助教 (60566214)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 猫多発性嚢胞腎 / 個体別重症度 / 遺伝疾患 / PKD遺伝子 / 次世代シークエンス / 疫学調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,若齢で死亡する多発性嚢胞腎(PKD)の猫は病期進行速度に関連する遺伝子変異を共通にもつと仮説を立て,病期進行速度に関連する候補遺伝子のスクリーニングをすることを目的として, 以下の研究を進めた。 PKD1遺伝子検査で陰性であった対象猫群,陽性であった猫のうち一般的な病態進行を示すPKD群,若齢から急速に病態が進行するRapid-PKD群の3群に分類し,NovaSeqを用いた次世代シーケンスによる網羅的ゲノム変異解析を実施した。Rapid-PKD群の組入れには、CTによる総腎容積および増大度、血中クレアチニン値を採用した。 Rapid-PKD群が他の2群と全く異なる変異を示す遺伝子配列を特定し,蛋白質構造への影響が高いと推定される変異(フレームシフト変異,ナンセンス変異,スタート喪失変異,スプライシング変異)を選定したところ、約20個ほどの遺伝子変異が見つかった。この中から、他動物種での腎疾患との関連が報告されている4個の遺伝子をPKD猫の病期進行速度に関連する候補遺伝子とした。 次年度は、若齢で死亡したPKD猫のDNAをターゲットとして、これらの候補遺伝子の変異の有無についてDNA解析を実施する。 病期進行速度に関連する遺伝子の変異が明らかとなれば、猫多発性嚢胞腎の重症度や進行度の予測が可能となり、早期に治療開始すべき症例を明確にすることができると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、病期進行が速いタイプのPKD猫と緩徐なタイプのPKD猫における変異解析が終了し、候補遺伝子の選定まで終了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
PKD猫の病期進行速度に関連する候補遺伝子が見つかったため、次年度は、若齢で死亡したPKD猫のDNAをターゲットとして、これらの候補遺伝子の変異の有無についてDNA解析を実施する。また、同時に臨床データと併せて、候補遺伝子の変異が重症度や進行度に関与するかについても検証する。
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Causes of Carryover |
学術集会の開催地が東京であったため旅費が予想よりもかからなかったため。差額は翌年度の旅費に合算する予定である。
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Research Products
(3 results)