2023 Fiscal Year Research-status Report
ネコヘルペスウイルス1型の侵入機構の解析~新規治療・予防法開発の為の基盤構築~
Project/Area Number |
22K06017
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
藤井 ひかる 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (10734444)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ネコヘルペスウイルス1型 / 侵入 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネコヘルペスウイルス1型(FeHV-1)はワクチンや治療薬はあるものの、ワクチンについては感染や発症を完全に防御できない、抗ヘルペスウイルス薬についてはビダラビン等の比較的安価なものはネコにおいて毒性が高いため、全身性投与が難しい等の問題があり、治療や予防に未だ課題がある。ワクチンや治療薬の開発にはウイルス増殖環や病態発現機構の理解が不可欠であるが、FeHV-1は基礎研究が乏しく、その詳細は不明である。 本研究において、ウイルス増殖や病態発現決定の第一関門となる侵入ステップに着目し、FeHV-1の侵入機構の詳細や宿主特異性の高さを決定する因子を明らかにすることで、FeHV-1感染症や他のヘルペスウイルスの新規治療法や予防法の開発の基盤を構築することを目指す。 本目的を達成するために、昨年度作製したルシフェラーゼアッセイを用いた試験管内FeHV-1侵入評価系を用いて、FeHV-1の侵入に必要なウイルス因子の同定を試みた。 また、FeHV-1が属するαヘルペスウイルス亜科のウイルスの多くが侵入時に受容体として用いるNectin-1がFeHV-1の侵入にも関与するか検証するために、Nectin-1抗体を用いた侵入阻害アッセイを行った。これと並行して、Nectin-1恒常発現細胞やノックアウト細胞を作製し、侵入への関与を解析する準備を行った。更に、新規FeHV-1受容体探索の基盤として、昨年度作製したcDNAライブラリーを用いたFeHV-1の増殖に関与する宿主因子のスクリーニングを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度作製したルシフェラーゼアッセイを用いた試験管内FeHV-1侵入評価系を用いて、FeHV-1の侵入に必要なウイルス因子の同定を試みたところ、安定した結果が得られなかった。 また当初、Nectin-1のFeHV-1侵入時への関与の有無を解析するに際し、Nectin-1抗体を用いた阻害アッセイや受容体ノックアウト細胞を用いた解析を予定していた。しかし前者では陽性コントロールについても侵入阻害が確認できなかったことから断念し、後者については、作製に際し時間を要したため、研究の進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
FeHV-1侵入時に必要なウイルス因子同定のために、候補ウイルス因子に対する抗体を感染細胞へ処理し、関与の有無について評価する。 また、Nectin-1ノックアウト細胞や可溶化Nectin-1を用いてNectin-1のFeHV-1侵入への関与の有無について引き続き解析を行うとともに、侵入への関与が確認された際には、FeHV-1とNectin-1の相互作用に関与する領域の探索を行う。 更に、昨年度作製したcDNAライブラリーを用いたFeHV-1の増殖に関与する宿主因子のスクリーニングについても引き続き行う。
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Causes of Carryover |
年度内に納品が間に合わなかった物品があったことや、当初の計画よりも研究の進捗が遅延したことが影響し、使用額に差が生じている。翌年度はこれらの物品の納品が完了すると共に、今年度遂行できなかった計画についても、当初計画していたものと合わせて遂行予定であるため、予算は満額使用予定である。
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