2023 Fiscal Year Research-status Report
コウモリにおける内在性ウイルス様配列によるフィロウイルス耐性の解明
Project/Area Number |
22K06027
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小川 寛人 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (80455237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 知之 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80402676)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 内在性ウイルス様配列 / フィロウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
マールブルグウイルス(MARV)やエボラウイルスが属するフィロウイルスは、ヒトに致死率の高い出血熱を引き起こす。MARVがエジプトルーセットオオコウモリから分離されたことでコウモリが有力な自然宿主とされているが、その生態は未だ多くの謎に包まれている。コウモリの細胞表面にはウイルス細胞侵入レセプターがあるため、ウイルスは様々なコウモリ細胞に侵入することができるが、ヒトに出血熱を引き起こすフィロウイルスのコウモリ分離例は上記が唯一である。フィロウイルスがコウモリを自然宿主として共存するためには、細胞侵入の感受性が影響するのではなく、細胞内での増殖過程に何らかの障壁があるのかもしれない。この点についてコウモリの免疫システムに着目した研究は多くみられるが、これまでのところ解決されていない。真核生物のゲノム内には、太古に組み込まれたウイルス由来遺伝子配列(内在性ウイルス様配列)が存在しており、フィロウイルス由来の内在性ウイルス様配列(EFL)もコウモリのゲノムで見つかっている。現代に受け継がれた内在性ウイルス様配列の中には、宿主生物の生理機能を担うものやウイルス増殖を抑制する働きを持つものが存在するため、EFLもフィロウイルス感染に対して何かしらの働きをしていることが考えられる。本研究では、コウモリゲノム内のEFLのフィロウイルス感染に対する作用を解明する。2023年度は、コウモリゲノム内に存在するEFLがMARVの転写活性に影響を及ぼすかMARVミニゲノムレポーターアッセイにより測定した。また、ストレス関連遺伝子の発現をRT-qPCRで解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コウモリ細胞において、EFLのRNA発現を検出することができた。また、コウモリ培養細胞において、siRNAによりEFLのRNA発現を抑制することができた。EFLのRNA発現抑制下でMARVミニゲノムレポーターアッセイによる転写活性を測定することができた。更に、ストレス関連遺伝子の発現を解析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
EFLノックダウン時に発現量の変化が認められたストレス関連遺伝子に着目し、EFLのRNA発現がこれらの遺伝子発現にどのように関与しているかを解析する。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも消耗品の消費が少なかったため次年度使用額が生じた。次年度に計画している解析のサンプル数や解析数を増やし、本年度よりも消耗品を用いた実験に使用する事を計画する。
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