2022 Fiscal Year Research-status Report
マウス卵巣体外培養モデルを用いた卵母細胞選抜機構の解明
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22K06041
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
諸白 家奈子 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (90815250)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 卵母細胞 / 体外培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の卵巣内には数千~数万個の卵母細胞が存在するが、排卵まで生き残る卵母細胞と死滅する卵母細胞はどのようにして選抜されるのか、そのメカニズムは明らかになっていない。この卵母細胞の選抜メカニズムの解明は卵母細胞形成の理解またヒトや家畜における生殖補助技術への応用に期待されている。胎子期から出生前後の卵巣において、卵母細胞同士は細胞間架橋を形成し数珠つなぎ状に結合した卵母細胞シストとして存在し、その後、シスト内の卵母細胞の一部が死滅し細胞間架橋が切断されるシスト崩壊を経て、個々の卵母細胞が形成される。最近、シスト崩壊時に死滅する運命の卵母細胞から生き残る卵母細胞に細胞内小器官が移動する可能性がマウスにおいて示された(Lei et al., Science, 2016)。しかしながら、生体内卵母細胞の細胞内小器官を経時的に観察する技術は確立されておらず、実際に細胞内小器官が卵母細胞間を移動するのか、また、細胞内小器官の移動が卵母細胞の選抜に関与するのかは不明である。そこで本研究では、我々がこれまでに開発した体外卵巣培養系を生体内の現象を体外で解析するライブセルイメージング技術に応用し、卵母細胞選抜メカニズムを解明することを目的とした。令和4年度はシストおよび卵母細胞内小器官の動態を免疫化学的手法により解析し、卵母細胞シスト不完全崩壊モデルの評価を行った。その結果、卵母細胞シスト不完全崩壊モデルではシストを出生後6日に相当する時期まで長期間維持することが明らかになった。よって、シスト不完全崩壊モデルを用いることでシスト内卵母細胞間における細胞内小器官の移動を体外で観察することが可能と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R4年度はR5年度に計画していた実験を一部前倒しで実施したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり生体卵母細胞および体外培養由来卵母細胞の遺伝子発現解析を中心に研究を進める。また、シスト崩壊前後の培養卵巣からMOF由来卵母細胞を単離し、胎子卵巣の体細胞と混合培養し発育を観察することで、卵母細胞のクオリティーが卵母細胞の選抜にどのように影響を与えるのかについて解析する。
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