2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K06042
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
松山 幸弘 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20312316)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脊髄 / リンパ管 |
Outline of Annual Research Achievements |
リンパ管の役割は、組織液や老廃物の輸送などが知られている。中枢神経系には長年リンパ管はないとされてきたが、近年その存在が確認され注目を浴びている。しかし脊髄内のリンパ管の存在は認められておらず、物質がどのようにドレナージされていくかは未だ不明な点が多い。本研究では脊髄実質内に注入した物質がどのような部位を通ってドレナージされていくか、リンパ管マーカーに注目して解析した。8-16週齢のWTマウス、及びVEGFR1-DsRed遺伝子改変マウスを使用した。マウスから脊髄を取り出し、リンパ管マーカーを観察した。また、脊髄実質内にトレーサーとしてOVA-647を2μl注射し、15分後に還流固定を行い、局在を観察した。三次元の観察としてCUBIC-R+による透明化手法を用い、共焦点顕微鏡および光シート顕微鏡で観察を行った。また二次元での観察として脊髄の切片を免疫染色し共焦点顕微鏡、及び透過型電子顕微鏡で観察した。 脊髄実質内に、リンパ管マーカーであるLYVE1を発現する脈管構造がみられ、またLYVE1はVEGFR1を発現する比較的太い血管の周囲に発現していた。また同構造はミクログリアマーカーであるCD68、Iba1も発現していた。免疫電子顕微鏡では、LYVE1は血管周囲の膜、及び細胞構造に発現していた。またトレーサーの実験では三次元の解析により、注射部位から離れた前正中裂の血管周囲に集積していることが観察された。さらには前正中裂にある血管の血管内皮細胞の外側、LYVE1陽性の膜構造の内側にトレーサーの集積がみられ、また一部はLYVE1陽性の細胞内に取り込まれていた。LYVE1はリンパ管内皮細胞上のヒアルロン酸レセプターであり、血管とリンパ管を区別するために有効とされているリンパ管マーカーである。本研究より、脊髄内のLYVE1陽性の細胞は、リンパ管構造ではなく、血管外をドレナージされる物質をミクログリアの様に貪食する働きをしていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
脊髄内のリンパ管の証明はできていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究でのミクログリアの様な働きをする脊髄内のLYVE1陽性の細胞が、脊髄損傷などの疾患においてどう関わっているのかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が無いため、記入しない。
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