2023 Fiscal Year Research-status Report
腸管神経発生における細胞間シグナル伝達によるRet受容体シグナルの調節
Project/Area Number |
22K06050
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
安井 良僚 金沢医科大学, 医学部, 講師 (10595325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉崎 尚良 金沢医科大学, 医学部, 講師 (00443490)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腸管神経細胞 / 腸管間葉系細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
RetはGDNFファミリーをリガンドに、GFRファミリーを共受容体にもつ受容体型チロシンキナーゼで、神経の運動、増殖、分化に影響を持つ。中でも腸管神経系への影響は大きく、腸管神経節欠損症であるヒルシュスプルング病の原因遺伝子として知られる。我々は本課題で腸管神経発生の特定のステージで、リガンドと共受容体に変化があることを示し、その生理的意義を明らかにする。我々は定量PCRを使いRetのリガンドGDNFとNRTN、共受容体のGFRA1とGFRA2の発現をマウス腸管のE10.5からE15.5にかけて定量した。その結果E13.5を境にGDNF-GFRA1からNRTN-GFRA2へRetシグナルがスイッチしていることが明らかになった。さらにその局在を調べたところ、E11.5-12.5にかけてRetは神経細胞に発現しているもののGFRA1は周辺の間質細胞に多く発現していること、E15.5では神経細胞特異的な発現に変化していることが分かった。さらにこのスイッチングは、細胞密度依存的にGDNFとNRTN、EDN3のバランスが調節していることを明らかにした。Retの共受容体GFRA1がRetの発現していない間質細胞で発現している意義を明らかにするために腸管神経前駆細胞とGFRA1発現および未発現のNIH3T3細胞を用意し、共培養系における腸管神経前駆細胞の遊走能を調べた。その結果GFRA1発現NIH3T3細胞との共培養系で腸管神経前駆細胞の遊走能が亢進することが分かった。Ret下流のシグナルを調べたところ、GFRA1発現NIH3T3細胞との共培養系ではRETたんぱく質の安定性、ERKリン酸化の持続時間が亢進していた。以上の結果から、trans-RETシグナルはGDNFによるRETの分解を抑制しそのシグナルを増強することで神経前駆細胞の遊走能を亢進させていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通りに実験成果が出ており、論文投稿もできている。
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Strategy for Future Research Activity |
論文の投稿段階まで来ており、次年度はリバイス実験を含む追加実験を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
論文発表を優先し、一部の実験を後回しにしたため使用額に変更が生じた。この実験は次年度行う予定でいるため、物品費として使用予定である。
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