2022 Fiscal Year Research-status Report
膵内分泌細胞における分化可塑性と各種膵臓疾患発症の関連解析
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22K06053
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 隆史 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (70344934)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膵内分泌細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は各種膵臓疾患の発症と膵内分泌細胞の関連を結びつけるメカニズムの解明を目指すものである。近年の我々の研究において、膵ランゲルハンス島の一部を占めるγ細胞が特異的に産生する、膵ポリペプチドをコードするPpy遺伝子の発現細胞が様々な種の膵内分泌細胞に分化すること、糖尿病や炎症状態においてβ細胞などの分化した膵内分泌細胞から生じることなどを見出してきた。そこで、主に遺伝子導入によりPpy発現細胞に人為的に癌原遺伝子(LargeT)を発現させたマウス(PpyCre/Rosa26-LargeT)の解析から、Ppy発現細胞における増殖の亢進が膵臓内に腫瘍を形成することが明らかとなった。そこで、同様の方法でインスリン産生細胞であるβ細胞でLargeTを発現させたマウスの表現系と比較したところ、膵臓全体に腫瘍は形成せず、ラ氏島内でインスリノーマ様の組織変異のみを生じることが明らかになった。このように、より未成熟な内分泌細胞で発現する傾向のあるPpy陽性の細胞は重篤な腫瘍形成の過程に何らかの役割を果たす可能性が示唆された。 更に、Ppy発現細胞においてLargeTの発現を時期特異的に誘導することにより、膵臓内に腫瘍を形成する時期を特定するためタモキシフェン誘導型のマウス(PpyCreERT/Rosa26-LargeT)を用いて生育段階別の解析を行なっている。また、本研究でははこの誘導型のシステムをさらに簡便に行うため、次にtet-ONシステムでPpy発現細胞のCre活性誘導をが可能なマウスを作製し、薬剤によりPpy発現細胞における。今後このマウスを用いることで、膵内分泌細胞の可塑性に関連する膵疾患の発症の時期や生育段階を特定するなど詳細な解析を行う準備が整いつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在用いているマウスの解析から得られた複数の知見は、本研究における最初の仮説を一部立証するものであり、以降の計画されている行程も予定通りの方向性で進めることができると考えている。また、これまで継続的に用いてきた手法を同様に用いることで、研究の次の疑問の解決に必要となる生物試材の作出も順調に進展しており、これらを用いた解析のシステムを新たに構築することで現時点で技術的な限界とされる手技にも改善がもたらされると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題は、主としてPpy遺伝子座に様々な外来遺伝子をノックインしたマウスを用いて膵内分泌細胞の可塑性と各種疾患発症機序の関連について解明することである。今まで、研究代表者が作出したマウスを用いることでPpy遺伝子発現細胞の性状解析を進めてきたが、まず本研究ではPpy発現細胞で癌原遺伝子を発現させると、膵組織内に広く腫瘍が形成されることを見出し、この表現系メカニズムの解析を進めている。今後の方向性としてはこのマウスの膵組織内腫瘍の性質を組織学的、生化学的それぞれの観点から解明するとともに、それぞれの生育段階においてPpyを発現する細胞の個々の性質とと腫瘍形成脳の関連を検討するため、Creの活性を薬剤で誘導し、時期特異的な遺伝子発現誘導によりもたらされる表現型の解析を行う。一方で、膵内分泌細胞が特に細胞内負荷により分化系譜上未成熟な性質に変化する際、各種の膵臓疾患の発症が如何なる影響を受けるかを明らかにするため、最初に前述の腫瘍形成の過程が膵内分泌細胞の「未成熟化」によって受ける影響について解析する。現在この解析を目的とした複数の遺伝子改変マウス系統を交雑しその準備を進めている。
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Causes of Carryover |
マウスの作出や表現型の解析の過程でマウスの飼育規模が当初予定していたより小規模であったこと、細胞培養などの様々な消耗器具や試薬を必要とする実験の進行が一部計画通りに進んでいないことが主な理由である。
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Research Products
(2 results)