2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a contact hypersensitivity model using Th2-induced humanized mice
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22K06060
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
大野 裕介 公益財団法人実験動物中央研究所, 実験動物応用研究部, 研究員 (90868861)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Th2細胞 / ヒト化マウス / 接触性皮膚炎 / IL-4 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が確立したNOG-hIL-4 Tgは全身にhIL-4が発現し、移植したヒトPBMC由来CD4+T細胞のTh2細胞への分化が期待できる。これまでにCMVプロモーターおよびCAGプロモーター支配下にhIL-4を遺伝子挿入した2系統のNOG-hIL-4 Tgが樹立されているが、両系統におけるTh2細胞誘導性能の差については未解析であった。そこで令和4年度はまず両系統におけるTh2細胞誘導性の比較解析を行い、どちらの系統がよりTh2誘導型ヒト化マウスとして至適であるか評価を行った。 脾臓CD4+T細胞のmRNA発現を次世代シークエンサーで網羅的に解析したところ、CAG-hIL-4 Tgの方がGATA3やTh2細胞関連遺伝子の発現が高い傾向にあった。またFACS解析により、CAG-hIL-4 Tgはより高頻度でhIL-4産生CD4+T細胞を誘導することが分かった。以上より、CAG-hIL-4 Tgでより高いTh2誘導性が示されたため、次にハプテン塗布による接触性皮膚炎の誘導を行った。 ヒトPBMC移植後4週にオキサゾロン(OXA)溶液を後背部に塗布し感作させ、その後計7回のOXA暴露により接触性皮膚炎を誘導した。皮膚切片の免疫組織化学染色(IHC)を行ったところ、CAG-hIL-4 Tgでのみ顕著な皮膚へのT細胞集積が観察され、従来型NOGマウスでは観察されなかった。また上記の結果はOXAを耳介塗布した実験系においても再現された。抗IL-4Ra抗体(デュピルマブ)を投与したところ、皮膚へのT細胞集積は抑制され、CAG-hIL-4 Tgを使用した接触性皮膚炎モデルはTh2細胞依存的な病態を示し、薬剤評価モデルとして本系統が有用であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、2系統のNOG-hIL-4 Tgマウスの比較解析を実施し、CAG-hIL-4 Tgがより高いTh2細胞誘導性を保有することを確認した。CAG-hIL-4 Tgにオキサゾロン塗布を行ったところ、顕著なT細胞集積を観察した事から、本系統はヒトTh2細胞依存的な接触性皮膚炎モデルして期待できる。これら結果に加え、抗IL-4Ra抗体(デュピルマブ)投与による治療効果も認められ、薬効評価モデル系として有用な成果も得た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はCAG-hIL-4 Tgのリンパ組織や皮膚組織に局在するT細胞の性状解析を行い、病態に関連するT細胞サブセットの特定を行う。具体的には脾臓および皮膚よりT細胞を単離し、次世代シークエンスによるmRNA発現の網羅的な解析に加え、T C Rレパトア解析を行い、病態に関連するT細胞クローンを特定する。同時に、皮膚肥厚の測定や掻痒行動の解析といった、病態評価や薬効評価の指標として有用な実験系の探索を行う。
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Causes of Carryover |
実験に使用する物品や消耗品の一部を所属研究室の保有する別の研究費で購入できた事に加え、当初予定していた回数よりも少ない実験回数で有用な実験データを得ることができたため、次年度使用額が生じた。残額は来年度予定している遺伝子解析の費用に補填し使用する予定である。
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