2022 Fiscal Year Research-status Report
Topological dynamics on single circular DNA molecules by molecular-ring-toss method
Project/Area Number |
22K06095
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
平野 研 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80392653)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 1分子DNA / トポロジー / 環状DNA / 1分子イメージング / マイクロ・ナノ流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
重要なDNA構造の一つである環状DNA1分子を「輪」の状態で実時間で直接イメージングして、構造・形態変化のダイナミクスの他、DNAのねじれ(トポロジー)と生体イベントとの関連性を1分子レベルで明らかにすることを目的としている。独自に開発した分子輪投げデバイスにより環状DNA1分子を輪投げの要領でマイクロ・ナノ構造に引っ掛けて「輪」の状態で捕捉し、イメージング・解析を実施する。はじめに分子輪投げのアレイ化デバイスを開発し、次いで、この独自技術により環状DNAと関連酵素(トポイソメラーゼやジャイレース)や核酸結合タンパク質(ヒストン等)との相互作用など1分子解析する。初年度である今年度は、本研究テーマの今後のハイスループット解析等のために必要かつ要となる、アレイ化した分子輪投げデバイスを主に検討した。マイクロ流路内のピラーの直径や配置のような単純構造の検討だけでなく、ピラーの3D構造の検討についてもフォトリソグラフィー技術とシリコン深掘りエッチング装置等を駆使して作製し、試行錯誤の結果、当該アレイ化デバイスの作製に成功した。また、当該デバイスのアレイ化能の評価のため、環状DNA1分子の捕捉状況を確認し、3次元構造化ピラーによる捕捉では、高効率でマルチ捕捉が可能であることが実証できた。また、生体イベント反応計測が可能であることを確認するため、環状DNA1分子の凝縮転移のリアルタイム1分子計測を行い、アレイ化デバイスによりハイスループット解析が可能であることも実証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに確立している単一の捕捉構造を有するデバイスについて、本研究テーマの今後のハイスループット解析等のため、アレイ化デバイスをはじめに検討した。ピラーの単純な構造(直径等)の検討に加え、シリコン深掘りエッチングを活用したピラー上の3次元構造の検討し、効率的な捕捉に必要な要素を明らかに出来たと共に、試行錯誤の結果、高効率での捕捉可能なアレイ化分子輪投げデバイスの作製に成功した。また、当該アレイ化デバイスの実際の検証として、ポリアミンによる凝縮転移について、環状DNAの形態変化のダイナミクスを1分子リアルタイム計測から明らかにすることにも成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の解析に必要となるハイスループット化したアレイ化デバイスの作製成功を受け、また当該デバイスにより環状DNAの凝縮転移のダイナミクスを1分子リアルタイム計測でハイスループット解析できることが可能であることを受け、次の研究項目である、ジャイレース・トポイソメラーゼによるDNA形態・酵素機能の解析(具体的には、蛍光(全反射)顕微鏡等を用いて、酵素分子の結合量や結合位置の経時変化なども含めた反応を、ジャイレースやトポイソメラーゼの種類の違いも含め明らかにする。また蛍光標識ATPを用いて、酵素反応のATPターンオーバーを可視化し、導入の超らせん密度一定=消費ATP量一定と考えられるものが酵素のゆらぎ等により受ける影響など種々の相互作用の解明を目指す)や生体内でねじれを導入するヒストンやコンデンシンなど核酸結合タンパク質のねじれ導入によるダイナミクスの違いも検討する。また、環状DNAのトポロジー(位相幾何学的形態)の解析 においては、ジャイレースやトポイソメラーゼ反応によるねじれの導入・解消に基づいた環状DNAの形態変化のダイナミクスを1分子リアルタイム計測から明らかにする。実際にねじれをリアルタイムで導入し、実際にどのような過程と環境条件によりどのような超らせんが形成され得るのかなど、電子顕微鏡やAFM、理論的予測等で得られている過去の知見との対比を行う。染色体外環状DNA(eccDNA)の分離:標準的ながん細胞系列(HeLa細胞等)より細胞全体の核酸を抽出し、Nickase等により開環状DNAとした上で、分子輪投げアレイ化デバイスへ導入することで、環状DNAのみを捕捉できる特徴を活かし、環状DNA(eccDNA)を捕捉し分離する。従来の超遠心法と比較し(パルスフィールド電気泳動等で解析)、迅速・簡便性や低レベル量のeccDNAの回収能を評価する。
|
Causes of Carryover |
今年度実施したアレイ化デバイス作製において、試行錯誤に時間を要したため、次年度の核酸結合酵素の反応に係る準備を次年度に繰り越す事となった。そのため次年度使用額が生じた。
|