2023 Fiscal Year Research-status Report
Sfh4-Psd2複合体によるオルガネラ間リン脂質輸送機構の構造基盤解明
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22K06096
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
渡邊 康紀 山形大学, 理学部, 准教授 (30772636)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リン脂質 / クライオ電子顕微鏡 / オルガネラ / リン脂質輸送 / 膜分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、Sfh4のホスファチジルセリン(PS)輸送活性を向上させる結合因子であるPbi1との複合体(Sfh4-Pbi1複合体)についてクライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析を行い、3.3 オングストローム分解能の密度マップが得られていた。しかし、粒子の配向に偏りがあり得られたマップからでは構造決定までは至らなかった。複合体が解離している粒子が確認されたため、グルタルアルデヒドにより架橋することで安定な複合体を調製して単粒子解析を試みた。架橋したサンプルでは、配向の偏りが解消され密度マップの質の向上が見られた。現在4.1 オングストローム分解能の密度マップが得られており、解析を進めている。また、Sfh4が実際に小胞体-エンドソーム間においてPS輸送を担うのか明らかにするために、Sfh4の局在解析を行った。昨年度ではSfh4のC末端に蛍光タンパク質のmNeonGreen(mNG)を融合したSfh4-mNG発現株を作成した。Sfh4-mNGはSfh4-GFPよりも蛍光強度が強く、より局在観察に適した株の作成に成功した。出芽酵母の液胞内でオルガネラ膜脂質の分解を担うリパーゼAtg15について生化学的解析を行った。大腸菌の系を用いて調製した好熱性糸状菌Chaetomium thermophilum由来Atg15を用いることで、Atg15にはリン脂質のsn-1およびsn-2の位置で加水分解するホスホリパーゼ活性を持つことが明らかになった。また、Atg15は酸性条件で活性化されること、液胞プロテアーゼによりリパーゼドメイン内部で切断されることで活性化されることを見出し、膜を分解する活性を持つAtg15はpHによる制御とプロセシングによる制御の少なくとも二つの制御機構によって活性が厳密に調整されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Sfh4-Pbi1複合体について、グルタルアルデヒドを用いた架橋により安定な複合体を調製し単粒子解析のサンプルに用いることで、密度マップの改善に成功した。現在はさらに解析を進めているところである。また、オルガネラ膜脂質の分解を担うAtg15について、精製タンパク質を用いることでAtg15の活性制御機構を明らかにすることができた。以上のことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
Sfh4-mNG発現酵母株を用いて、Sfh4の局在の解析を行う。エンドソームでホスファチジルセリンからホスファチジルエタノールアミンの合成を担うPsd2をコードする遺伝子を欠損させた場合、Sfh4の局在が変化するか観察する。またSfh4-Pbi1複合体の単粒子解析を続け、立体構造を決定する。決定した立体構造に基づいてSfh4によるオルガネラ間PS輸送メカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
プラスチック製品など、いくつかの消耗品を学内の他の予算にて補うことができたので、次年度使用額が生じた。次年度は論文掲載費用などに充て、研究成果を積極的に発表する。
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