2022 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of molecular recognition between intrinsically disordered regions.
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22K06101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星野 大 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (70304053)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 天然変性タンパク質 / 分子認識 / タンパク質間相互作用 / NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
「タンパク質」は我々のからだを構築するだけでなく、摂取した食物を消化してエネルギーに変換したり、外界からの刺激(光・温度・匂い)を脳に伝達したり、あらゆる生命活動において中心的役割を果たしている。タンパク質は特有の立体構造により機能を発現しているが、機能に必要な「特有の立体構造」をもたないタンパク質が、ヒトを含む高等な生物に多数存在することが明らかとなってきた。「特有の立体構造」をもたないタンパク質が、どうやって機能を発揮しているのかを「タンパク質のかたち」に注目しつつ解明する。 転写因子であるSp1に存在する、グルタミン残基に富むSp1-QBドメインは、そのような天然変性タンパク質の一種である。興味深いことに、Sp1-QBドメインは、特定の構造をもたないにも関わらず自己会合してホモオリゴマーを形成する。さらに、TAF4という基本転写因子のタンパク質とも相互作用して、Sp1-TAF4ヘテロオリゴマーを形成する。 本研究では、特定の構造を持たない天然変性タンパク質が、複数の異なるタンパク質(Sp1-Sp1およびSp1-TAF4)を認識・相互作用する分子機構を明らかにすることを目的とする。そのために、溶液高分解能NMRを用いて両タンパク質の相互作用を残基レベル分解能で解析する。計画は順調に進行しており、相互作用にともなって特定の残基に由来する共鳴ピークが減弱することを見出している。今後さらに計画を進め、相互作用にともなう分子運動の変化を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、15N13C-二重標識タンパク質を用いて天然変性タンパク質であるSp1-QBドメインならびにTAF4-中央ドメインのNMRスペクトルの帰属ならびに相互作用に伴うスペクトルの変化を解析する予定であった。計画は順調に進行し、両タンパク質について、スペクトルの帰属がほぼ完了した。さらに、両タンパク質の相互作用にともない、強度が著しく減弱するピークを見出した。これらのピークに相当するアミノ酸残基が相互作用部位を形成していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
NMRによる解析をさらに進展させ、相互作用に伴うタンパク質の運動性の変化を緩和速度解析により解析する。また、局所的な情報を与えるNMRと相補的な測定法である中性子散乱による解析を行い、タンパク質間相互作用に伴って、分子全体の形状がどのように変化するのかを解析する。
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