2022 Fiscal Year Research-status Report
RNAアプタマーを利用したU2 snRNPの「ゆるい」ブランチ部位認識機構の解明
Project/Area Number |
22K06105
|
Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
桑迫 香奈子 武蔵野大学, 薬学部, 講師 (10568736)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 泰一 千葉工業大学, 先進工学部, 教授 (40383369)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | mRNAスプライシング / U2 snRNP |
Outline of Annual Research Achievements |
U2 snRNPは,mRNA前駆体のスプライシングにおいて,イントロン上のブランチ部位を認識して結合し,スプライシング反応の活性中心を形成する。ヒトでは,ブランチ部位とされる配列は複数あるが,これら複数のRNA配列をどのようにしてU2 snRNPが認識しているのかは未知である。本研究では,このU2 snRNPによる認識を「ゆるい」と定義して,この特徴的なRNA認識機構をRNAアプタマーを利用して解明する。 本研究で利用するアプタマーがスプライシングに与える影響を確認するため,インビトロでのスプライシングアッセイ系の作製を試みた。基質となるmRNA前駆体は,T7 RNAポリメラーゼによる転写反応によって合成するため,鋳型のDNAをプラスミドの形で精製し,制限酵素処理によりRun-offさせられる形とした。現在,これを用いて転写反応を行い,その産物の確認を行っている。スプライシング反応を起こすために必要なスプライシング因子は,核抽出物を用いる。いくつかの文献で市販の核抽出物が使われているため,同じものを購入して利用する予定である。 スプライシング制御因子がU2 snRNPに結合することで,選択的スプライシングに影響を与えることが示唆されている。そこで特定の制御因子に注目し,大腸菌を宿主とした発現系の構築を試みたが,成功しなかった。今後はこれを継続させて,無細胞タンパク質合成系の利用を試みる予定である。また,全長ではなく,相互作用に関与する部位に注目して発現系を構築することも検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による研究の中断,物品到着の滞り等。
|
Strategy for Future Research Activity |
インビトロでのスプライシングアッセイ系の作製に関しては,基質となるmRNA前駆体の合成および精製の終了後,スプライシング反応を行う予定である。一般的に,RNAの検出のための標識はRIが利用されているが,本学にはRIを扱う施設がない。そこで,非RIの方法で標識する予定にしている。標識の効率,検出感度,スプライシングに与える影響等を調べながら,いくつかの方法を検討する。スプライシング反応を起こすために必要なスプライシング因子は核抽出物を利用するが,いくつかの文献で使用され実績のあるものを購入して利用する予定であり,問題なくスプライシング活性を示すと考えている。 U2 snRNPに結合するスプライシング制御因子の調製に関しては,無細胞タンパク質合成系の利用を試みる予定である。本研究室では,これまで大腸菌の無細胞タンパク質合成系を利用してきたが,コムギ胚芽由来の系も検討する予定である。また,全長での調製が難しい場合には,相互作用に関与する部位(ドメイン)に注目して発現系を構築することも検討する。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍による研究の中断があったため,予定よりも研究が滞っている。 また,核抽出物は,今年度半ばに発注しているものの,未だ製造中であり,入荷に時間がかかってしまっている。次年度の5月中旬頃には入荷予定である。
|