• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2023 Fiscal Year Research-status Report

人工知能を有する自動回折データ収集システムの開発

Research Project

Project/Area Number 22K06107
Research InstitutionInstitute of Physical and Chemical Research

Principal Investigator

平田 邦生  国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 専任技師 (20373524)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords結晶構造解析 / 放射光構造生物学 / 自動測定
Outline of Annual Research Achievements

最終目標である線形回帰モデルの説明変数のピックアップを信頼度高く実装するために、前年度から検討を開始した階層的クラスタリングを利用した構造多型解析の高度化をすすめた。今年度はこれについて論文を出版することができた。多数の結晶から得たデータセットをマージして一つの結晶構造因子を得る場合、それぞれの強度の相関係数を計算しそれらを機械学習の一つである階層的クラスタリングにより整理することで、似ている構造因子どうしをある程度グループ化することができる。これを実施することにより、これまで「ただ一つだけ構造を得る」ために収集していた大量データを、構造の違いで分類することができるということを見出した。この分類を実施することでそれぞれのグループごとに構造因子を比較することができ、より意味のある純度の高いデータを利用した線形回帰モデルが検討できる準備が整った。さらに今年度は大量なデータ収集を実施したことによる構造因子にどのような系統的な影響が生じるか調査を進めた。過去の論文報告や、これまでのSPring-8ビームラインBL32XU運用の実績から、より大量データをマージして結晶構造解析を進める場合、単独で収集したデータよりも統計的な分解能が高く、さらに構造解析における微小構造の違いの検出がしやすくなるなどの効果が得られていた。この効果について、膜タンパク質2種類、ミクロンサイズの微小結晶、などを利用してマージする結晶数が増えた場合に、分解能、構造精密化の統計値、また、構造情報の多寡を評価するために、非常に微弱な異常分散差シグナルを定量化し、マージ数に対してそれらがどのように変化するかを調査した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

大量データを利用したモデル化については一部、プログラムによる実装を進めたが冗長度を考慮した結晶学的な統計値で、構造情報の多寡を定量化することが可能であろうことまでは明らかとし、この点をフィードバックに活用した自動測定スキームについては大雑把な設計構想を構築することができた。しかし、結局のところ、大量データをマージすることによって得られる最終構造は今年度出版した階層的クラスタリングを利用する方法を利用してデータを同型なものとしてグループ化することが肝要であるし、また、そのグループを構成するデータ量が変化することで最終的に得られる構造情報の多寡は左右されることが明らかとなってきた。そこで、今年度は実用的なリアルサンプルや大量に準備しやすい試料を利用してデータ量が増えることで得られる結晶学的な構造情報がどのように増えてくるかを調査した。GPCR膜タンパク質であるアンジオテンシン受容体(II)、Znイオンチャネルタンパク質、3-5ミクロンサイズの結晶の多角体タンパク質に関してsmall wedge synchrotron crystallography(以下、SWSX法)におけるデータ量と構造情報の関係を系統的に調査した。詳細な結果については論文が出版された後に改めて報告するとして、過去の別グループの論文報告にあったとおり、large wedge結晶構造解析についても冗長度を高めることによって微弱な異常分散シグナルを的確に捉え、位相決定に利用するS-SAD法を促進する測定戦略が存在する。これらの結果と同様に大量なデータを利用したほうが構造解析の分解能を高め、モデル構造の精度を高め、微小構造のトレースにも有利であることが明らかになりつつある。

Strategy for Future Research Activity

前年度の計画通り、微弱な回折強度シグナルの検出に有用な位相決定(SAD法)を実施し、位相決定の可否・正解とのCCなどを「学習データの答え」として与えることで、古典的な回折強度データの統計値や他の統計値を利用した線形回帰モデルの構築についての検討を実施することができた。今後は、それらのモデルを利用したフィードバックを自動測定に取り込み、知能を有するシステムの構築を実施する予定である。それに加えて、大量な結晶からの部分データをマージすることによって構造解析を実施する場合の分解能、構造情報の多寡の予測を加味し、位相決定・微細な構造の精密解析を目指すうえで、必要なデータ量(結晶数)などの定量化、それが実現できるかどうかの判定機能を測定システムに実装するなどを実施していく。

  • Research Products

    (6 results)

All 2024 2023

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 2 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Elucidating polymorphs of crystal structures by intensity-based hierarchical clustering analysis of multiple diffraction data sets2023

    • Author(s)
      Matsuura Hiroaki、Sakai Naoki、Toma-Fukai Sachiko、Muraki Norifumi、Hayama Koki、Kamikubo Hironari、Aono Shigetoshi、Kawano Yoshiaki、Yamamoto Masaki、Hirata Kunio
    • Journal Title

      Acta Crystallographica Section D Structural Biology

      Volume: 79 Pages: 909~924

    • DOI

      10.1107/S2059798323007039

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Constrained catecholamines gain β2AR selectivity through allosteric effects on pocket dynamics2023

    • Author(s)
      Xu Xinyu、Shonberg Jeremy、Kaindl Jonas、Clark Mary J.、Strobel Anne、Maul Luis、Mayer Daniel、Hubner Harald、Hirata Kunio、Venkatakrishnan A. J.、Dror Ron O.、Kobilka Brian K.、Sunahara Roger K.、Liu Xiangyu、Gmeiner Peter
    • Journal Title

      Nature Communications

      Volume: 14 Pages: online

    • DOI

      10.1038/s41467-023-37808-y

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Engineering of an in-cell protein crystal for fastening a metastable conformation of a target miniprotein2023

    • Author(s)
      Kojima Mariko、Abe Satoshi、Furuta Tadaomi、Tran Duy Phuoc、Hirata Kunio、Yamashita Keitaro、Hishikawa Yuki、Kitao Akio、Ueno Takafumi
    • Journal Title

      Biomaterials Science

      Volume: 11 Pages: 1350~1357

    • DOI

      10.1039/d2bm01759h

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 自動測定システムZOOの歩んだ道・歩む道2024

    • Author(s)
      平田邦生、河野能顕、上野剛、松浦滉明、坂井直樹、馬場清喜、水野伸宏、仲村勇樹、村上博則、長谷川和也、熊坂崇、山本雅貴
    • Organizer
      日本放射光学会年会
  • [Presentation] SPring-8自動測定システムZOOの歩んだ8年間2023

    • Author(s)
      Kunio Hirata、Hiroaki Matsuura, Yoshiaki Kawano, Naoki Sakai, Kazuya Hasegawa, Takashi Kumasaka, Masaki Yamamoto
    • Organizer
      日本結晶学会年会
  • [Presentation] Current status of serial crystallography at SPring-8 MX beamlines2023

    • Author(s)
      Kunio Hirata、Hiroaki Matsuura, Yoshiaki Kawano, Naoki Sakai, Kazuya Hasegawa, Takashi Kumasaka, Masaki Yamamoto
    • Organizer
      The 74th ACA Annual Meeting
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2024-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi