2022 Fiscal Year Research-status Report
ADPリボシル化酵素PARP7による自然免疫制御の分子構造基盤
Project/Area Number |
22K06109
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 征輔 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (30769576)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ADPリボシル化酵素 / 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては主にヌクレオチド転移酵素TUT1とU6 snRNAの複合体結晶構造解析および生化学解析に取り組んだ。U6 snRNAはスプライシング反応の触媒活性を担う、真核生物の遺伝子発現に不可欠の因子である。U6 snRNAは成熟過程において様々な修飾を受けることが知られており、ヌクレオチド転移因子TUT1による3'末端のオリゴウリジル化はその一つである。3'末端のウリジン配列はRNA結合タンパク質Lsmの結合部位としてU4/U6 di-snRNPの形成を促進する。私たちはこれまでにヒトTUT1の単体およびヌクレオチドとの複合体構造を明らかにし、ヌクレオチドの認識機構を明らかにしてきたが、U6 snRNAとの詳細な結合様式については不明な点が多かった。 そこで私たちはヒトTUT1とU6 snRNAの複合体のX線結晶構造解析に取り組み、様々なコンストラクトや結晶化条件を検討してきた。その結果、最終的にC末端側を欠損させたヒトTUT1と、U6 snRNAのうちウリジル化反応に必要な領域からなるコンストラクトの組み合わせにおいて結晶化・構造決定に成功した。複合体構造中でTUT1は複数のドメインを協働的に利用することによってU6 snRNAの複数の特徴を認識し、高い特異性・親和性で3'末端へのウリジル化反応を行うことがわかった。また、立体構造と生化学解析を合わせて、決まった数だけのウリジンを付加させたあとに反応を終結させるメカニズムがあることも明らかにした。これらの結果をまとめ、現在論文投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前期の課題であるヌクレオチド転移酵素TUT1の解析・論文準備や、今後クライオ電子顕微鏡の実験を開始するためのセットアップに主に取り組んだため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づいて、タンパク質の調製、構造解析に着手する。構造解析の手法としては、おもにクライオ電子顕微鏡を用いることを予定している。
|
Research Products
(3 results)