2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K06117
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
椎村 祐樹 久留米大学, 付置研究所, 助教 (40551297)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | グレリンO-アシルトランスフェラーゼ / 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の結果から、グレリンO-アシルトランスフェラーゼ (GOAT) を精製するためには、精製プロトコルの最適化およびGOATを安定化する必要があることが考えられた。そこで当該年度は、グレリンO-アシルトランスフェラーゼ (GOAT) の安定化変異体のスクリーニングを行った。 安定化変異体を作成するにあたり、構造既知のファミリータンパク質のコンストラクトを調べたが、どのファミリータンパク質も野生型で構造決定されていた。そこでAlpha Fold2を用いた構造予測をおこなった。その結果、GOATは、そのほとんどが小胞体膜に埋没されていることが予測された。しかしN末端の8アミノ酸は特定の構造を取っておらず、この領域の欠失変異体によってGOATを安定化できる可能性が考えられた。一方でファミリータンパク質では、アミノ酸点変異による安定化を図られた例はなかったため、アミノ酸点変異の導入は検討しなかった。C末端にHisタグおよびGFPを付与したGOATのN末端4または8アミノ酸を欠失させた変異体コンストラクトを作製してExpi293細胞で発現させた。GOAT発現細胞をDDMで可溶化後、Niカラムを用いて簡易的に精製したのち、蛍光ゲル濾過クロマトグラフィーで展開した。その結果、2つの欠失変異体と野生型の単分散性に差がなかった。またNiカラム溶出液100 uLあたりのGFPカウントも野生型と比較して差がなかった。これらのことからN末端欠失変異体によるGOATの安定化は困難であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
変異体のスクリーニング結果が不良に終わったことと、共同研究で進めている国際共同研究強化 (B) のために3ヶ月間渡米していたため、予定していた精製バッファーの検討がほとんど行えなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
欠失変異体による安定化が見込まれなかったことから、野生型に絞って精製条件の検討を行う。まず、当該年度実施できなかった精製バッファーのスクリーニングを実施する。界面活性剤はDDM,GDN,MNGの三種類および還元剤の有無である。50 mLスケールで野生型GOATを発現させて、還元剤+/-の各界面活性剤バッファーを用いて可溶化したのち、GFPを指標にしたゲル濾過クロマトグラフィー (SEC) を行う。ピークの良好なものが複数得られた場合には、一定時間熱処理して、熱安定性の高いものを優先する。精製バッファーを決定することができれば、発現スケールを200 mLに上げてNi精製およびSECによりGOATを精製してクライオ電子顕微鏡観察サンプルを作製する。
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Causes of Carryover |
当該年度は、別プロジェクトでの複数ヶ月の海外渡航があったため、次年度使用額が生じた。
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