2022 Fiscal Year Research-status Report
オートファゴソーム形成における膜の形態制御機構の解明
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22K06123
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小谷 哲也 東京工業大学, 生命理工学院, 特任助教 (10724643)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オートファジー / オートファゴソーム / 隔離膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは「オートファゴソーム」と呼ばれる2枚の膜を持つ小胞でタンパク質や細胞小器官など様々な細胞内成分を包み込み、液胞へと輸送し、分解する機構である。オートファゴソームは隔離膜と呼ばれる扁平な小胞が球状に伸張し閉じることで形成されるが、オートファゴソームの形成途中の形や大きさを制御する機構はよくわかっていない。我々はこれまでに隔離膜の開口端に局在し、開口部を広く維持するために必要な因子としてAtg24複合体を同定した。Atg24複合体はホスファチジルイノシトール-3-リン酸(PI3P)と結合するPXドメインを有しており、隔離膜上のPI3Pとの相互作用により隔離膜上へ局在化する。オートファゴソームが完成するためには隔離膜の開口部は収縮していく必要があり、Atg24複合体は隔離膜から解離する必要があると考えられる。この過程にPI3Pホスファターゼが関与する可能性を考え解析を行った。PI3Pホスファターゼの一つであるYmr1を欠失した細胞を観察すると、Atg24複合体が開口端に結合したままの伸張途中の隔離膜が蓄積することを示唆する結果を得た。このことはYmr1が隔離膜上のPI3Pを脱リン酸化することでAtg24複合体が隔離膜から解離させることを示唆する。 また、オートファジー関連膜構造体の形態が変化する条件の探索を行ったところ、オートファジーを誘導するときの培養条件によって、オートファジー関連膜構造体の形態が変化することが分かった。さらに伸張途中の隔離膜が蓄積するAtg2の変異体も見つけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はオートファジー関連膜構造体の形態を変化させる条件を見つけることができた。また近接依存性標識法を行うための条件検討を行い、準備が順調に進んでいる。そのため本研究課題はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
オートファジー関連膜構造体の形態が変化する条件が明らかとなったので、その条件で何が起きているのかAtg24複合体やAtg2に着目をして研究を進める。また、近接依存性標識法を行い、隔離膜に局在し隔離膜の形態を制御する因子の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
今年度は近接依存性標識法を用いた質量分析を行う予定であったが、他の実験に時間を費やしたために、質量分析までは行えず、質量分析のための費用が抑えられた。次年度は質量分析や電子顕微鏡解析も行う予定であり、そのための費用が増える予定である。
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