2023 Fiscal Year Research-status Report
細胞成長を司るmTORC1キナーゼ複合体の活性制御機構の解明
Project/Area Number |
22K06145
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
両角 佑一 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80571439)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | mTORC1 / ラパマイシン / 分裂酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
栄養源に応答し細胞成長や代謝を制御するmTORC1は、がんや糖尿病などの疾病に加え、老化や寿命とも密接に関わる。本研究では、遺伝学的解析が容易で哺乳類細胞と同様のmTORC1経路をもつ分裂酵母をモデル系として、新規mTORC1制御因子を同定しその機能を明らかにすることで、酵母からヒトまで保存されたmTORC1の活性制御メカニズムの理解を目指す。昨年度、共免疫沈降法によりmTORC1の抑制因子として見出したHhp1キナーゼとmTORC1の相互作用が検出されたことから、Hhp1がmTORC1を直接リン酸化することでその機能を抑制する可能性が示唆された。そこで本年度は、Hhp1がmTORC1のどのサブユニットと相互作用するのかを解析した。その結果、分裂酵母mTORC1のサブユニットであるTco89, Toc1およびWat1の欠損株でもHhp1とmTORC1の相互作用に変化は見られなかったことから、Hhp1はTor2あるいはMip1と相互作用することが示唆された。また、mTORC1の抑制機能を亢進するHhp1のアミノ酸置換によってmTORC1とHhp1の相互作用が強くなった。また、Hhp1に加えて、mTORC1経路の新規関連因子として同定したPsr1およびSPBP4H10.16cについても進めた。昨年度、Psr1とSPBP4H10.16cは複合体として機能することが示唆されたため、Psr1とSPBP4H10.16cの様々な部分断片を用いて両者の相互作用領域を絞り込んだ。加えて、細胞内局在解析の結果、両者とも細胞膜に局在し、SPBP4H10.16の膜局在はPsr1に依存することが明らかになった。また、Psr1-SPBP4H10.16c複合体の相互作用因子を探索し、複数同定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に計画していた研究を予定通りに進め、研究成果を得ることができたため、概ね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
mTORC1の制御因子として、本研究で同定されたHhp1に加えて、Tsc複合体やRhb1などが知られている。そこで、これら他のmTORC1制御因子とHhp1の機能的関連を明らかにする。また、Psr1およびSPBP4H10.16cについては、同定した相互作用因子との機能的関連の解析を更に進める予定である。さらには、mTORC1経路の新規因子候補としてすでに得ているPar1についても、その機能解析を進め、mTORC1経路のでどのような役割を果たしているのかを明らかにする。
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