2022 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of amino acid harmonization: a paradigm of heterodimeric amino acid transporters
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22K06150
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 勇燦 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 助教 (00894932)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | transporter / amino acids / homeostasis / structure / exchanger |
Outline of Annual Research Achievements |
高等真核生物がアミノ酸交換輸送体を保持する理由は、生体内のアミノ酸ハーモニーを維持し、ホメオスタシスを達成するためであると考えられる。これを実証するためには交換輸送の分子メカニズムの理解が重要である。Heterodimeric amino acid transporter(HAT)は、高等真核生物における代表的なアミノ酸交換輸送体ファミリーとしてよく知られている。しかし、交換輸送機能の意義や輸送に伴う構造変化といった分子メカニズムの詳細は解明されていない。本研究の目的は、HATのパラダイムであるrBAT - b0,+AT複合体を研究モデルとして、アミノ酸交換輸送メカニズムを解明することである。
代表者らは、野生型rBAT - b0,+ATの構造を解くことに成功した。この構造は、基質を持たない内向きコンフォメーションを示し、輸送機構の一状態を説明できるものであった。また、rBAT-b0,+ATは幅広い種類のアミノ酸を受容するが、その認識部位は解明されていなかった。研究代表者は、複数のrBAT-b0,+ATの変異体を用いて、基質認識を詳細に検討した。輸送解析の結果、rBAT-b0,+ATは異なる種類のアミノ酸を認識する際に、それぞれ異なる残基で基質に結合することを明らかにした。また、構造情報とともに、rBAT-b0,+ATの基質となるアミノ酸種を認識するための鍵となる残基を提案した。これらのすべての結果は、HATのタンパク質構造と交換輸送機構の関係を説明する鍵になるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
rBAT-b0,+ATは、幅広い種類のアミノ酸を認識する。しかし、そのメカニズムや結合部位はよく分かっていなかった。代表者らのこれまでの研究から、rBAT-b0,+ATがアミノ酸の種類によって異なる結合残基を用いて相互作用していることが得られている。これを手がかりとして本研究では、変異体タンパク質と分子ドッキング解析により、異なる種類のアミノ酸に対する基質結合部位を詳細に決定した。研究代表者が確立した方法論により、解析を実施した。その結果、rBAT-b0,+ATの各アミノ酸基質認識に関する重要な残基を得ることができた。 各アミノ酸の輸送動態を得るために、研究代表者は無細胞再構成系を使用した。rBAT-b0,+ATの基質結合特性と基質交換特性を、それぞれ脂質ナノディスクとプロテオリポソームで検討するために、まず野生型のrBAT-b0,+ATを用いて、脂質の種類と再構成条件を最適化し、最適な条件を得ることに成功した。ナノディスクとプロテオリポソーム中の野生型rBAT-b0,+ATは、安定した挙動を示しており、脂質ナノディスクおよびプロテオリポソームシステムは、いずれも動力学的試験に適用可能であることが示された。
さらに、野生型rBAT-b0,+ATタンパク質の機能構造解析の過程において、rBATにカルシウム結合部位を見いだし、この部位へのカルシウム結合がrBAT-b0,+ATが輸送機能を発現するために必要な高次構造の形成に重要であることを明らかにした。これにより、HATの特徴であるヘテロ二量体形成が、生体における交換輸送機能発現に必須であることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
rBAT-b0,+ATが異なる種類の基質(アミノ酸)と相互作用するために、それぞれ異なる複数の残基を利用しているという研究代表者の発見に基づき、研究代表者は、これまでに確立した無細胞系を用いて、各アミノ酸基質の結合kineticsおよび輸送kineticsを求める予定である。基質結合については、ナノディスク中の精製タンパク質と各アミノ酸の相互作用を検証する予定である。輸送動態については、プロテオリポソームを使用する予定である。細胞内外を模倣した環境を作り出すことで、輸送方向を考慮した詳細な輸送動態の解析を進める。
また、輸送機能解析に加えて、野生型タンパク質とは異なる構造を得ることを目的として、野生型タンパク質とは異なる輸送動態を示すrBAT - b0,+AT変異体について、その構造を解明することを計画している。そのために、変異体タンパク質を精製し、詳細な輸送機能解析を行い、さらに野生型タンパク質の構造解明に成功したクライオ電子顕微鏡による解析を行うことを計画している。また、HATの特徴であるヘテロ二量体形成と高度な交換輸送機能の関係について詳細に解析し、さらにrBAT - b0,+ATおよびrBAT – AGT1に特異的な超二量体構造の意義について明らかにする。これらの得られた結果をまとめ、HATの交換輸送機構モデルを提案する。
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Causes of Carryover |
当該年度の所要額は、アフィニティーカラム、タンパク質分析用消耗品、ラジオアイソトープ化合物の購入に充当する予定です。 研究代表者は、実支出額の累計額と一致するように実際の購入額を調整します。一部の消耗品の購入を削減します。
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Research Products
(3 results)