2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of chain shape-dependent physical properties of polyubiquitin related with stress granule formation
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22K06168
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 大智 京都大学, 工学研究科, 助教 (40746616)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ユビキチン / 非定型鎖 / 構造揺らぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ストレス顆粒形成においてユビキチン鎖の役割を詳細に解明するため、細胞内で存在する多様な形態のユビキチン鎖、特に研究が進んでいない非定型のユビキチン鎖を試験管内で作製し、ストレス顆粒形成に関わる物性を有するのか明らかにすることを目的としている。本年度では、作製が困難なLys48結合型の環状ユビキチン鎖(ジユビキチン)を高純度かつ大量に試料調製し、環状ユビキチン鎖の生物学的および構造学的な性質を詳細に調べた。まず、環化によってプロテアーゼ消化に対する耐性が変化するか調べた。脱ユビキチン鎖酵素だけではなく基質特異性の低いプロテアーゼに対しても環状ユビキチン鎖は非環状型に比べ、高い消化耐性を持っていることがわかった。また、環化によって環状ユビキチン鎖の静的および動的な構造安定性も大幅に上昇させることがわかった。一方、核磁気共鳴法における緩和分散実験によって、環状ジユビキチンはマイクロ秒からミリ秒の構造揺らぎを示すことがわかった。この構造揺らぎは環化して初めて観察できるものであった。どのような運動が構造揺らぎを引き起こすのか明らかにするため、長時間の粗視化分子動力学シミュレーションをおこなった。すると、環化によって環状ユビキチン鎖が本来持つナノ秒スケールのユビキチンユニットの開閉運動をマイクロ秒スケールまで遅らせることが見出された。したがって、環化はユビキチン鎖が持つユビキチンユニット同士の運動を抑制し、構造学的に安定化することによって新たな物性を獲得することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に遂行し、遊離非定型ユビキチン鎖の物性解析の基盤を構築できている。物理化学的な手法に加え、生化学的および細胞生物学的手法により研究を進めることで細胞内現象に関係する物性を明らかにすることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで確立した環状ユビキチン鎖の調製方法ならびに分岐鎖の調製方法を駆使し、結合様式や長さに応じた構造学的ならびに液滴形成能といった物理的性質を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究室内に貯蔵していた試薬を使用することで予定していた実験を遂行することができたため。
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