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2023 Fiscal Year Research-status Report

verification of the back-door model for actin phasphate release

Research Project

Project/Area Number 22K06172
Research InstitutionTokai Gakuin University

Principal Investigator

小田 俊郎  東海学院大学, 健康福祉学部, 教授(移行) (20321739)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 太田 元規  名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (40290895)
武田 修一  岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任助教 (50509081)
岩佐 充貞  名古屋大学, 理学研究科, 招へい教員 (60509082)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsアクチン / ATPase / Pi放出
Outline of Annual Research Achievements

昨年は、Pi放出穴の蓋(バックドア)に相当するArg177が相互作用するHis161に注目し、そのフリッピングを制御するPro-rich-loopのアクチン変異体A108GとP109Aを調製して生化学実験・結晶構造解析を行い、論文で報告した。His161側鎖の向きは線維型(F型)と単量体型(G型)で異なるが、F型の向きがアクチンのATP加水分解に必要であることを報告した。現在進行中の研究の進捗状況は以下の通り。1)昨年度Pro-rich loopの形状が2種類(PL-F型とPL-G型)に分類されることを見出した。本年度はそれ以外のProを含む外縁部ループの形状を検討し、Sensor Loop (70-78)がSL-F型、SL-ADP-G型、SL-ATP-G型に分類されることを見出した(課題I、II)。2)Pi放出に影響を与えることが知られている、ヌクレオチドに結合しているカチオンがアクチンの構造に与える影響をさらに検討した(一昨年から開始)。細胞質内に豊富に存在するマグネシウムイオンではなく、カルシウムイオンをATPに配位したF型アクチンの結晶構造解析を試みたところ、興味深いアクチンの構造変化を観察した。(課題III)3)ADPとPiが結合したF型構造のMDシミュレーションを行い、Piの解離を検討した。このシミュレーションで全体構造はF型からG型に転換し、その際、アクチンからPiが放出されるイベントを見出した。この経路等について検討している。(課題Ⅳ)4)バキュロウイルス発現系(改良型)で発現させたアクチンの精製方法を検討し、再現良く高純度の発現アクチンを精製することに成功した。またアクチンの変異導入部位について検討を重ね、4つのアミノ酸残基にそれぞれ変異を導入した合計10種類の変異アクチンを調製することとした(課題I, II)。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

岩佐が実験している名古屋大学大学院理学研究科の成田研究室が耐震化により引越したため、一時実験ができず、発現・生化学実験が少し遅れ気味である。しかし、すでに、バキュロウイルス発現系(改良型)で発現させたアクチンの精製方法の検討が終了し、再現良く高純度の発現アクチンを精製することに成功している。また、アクチンの変異導入部位について検討を重ね、4つのアミノ酸残基にそれぞれ変異を導入した合計10種類の変異アクチンを計画し調製を始めており、現在、特に困難は抱えておらず、順調に進みつつある。武田が岡山大学から転出して名古屋大学に赴任するため、引っ越しなどにより構造解析も多少遅れ気味である。カチオンとリン酸の解離がリン酸放出の律速反応の候補と思われており、カチオンとリン酸の相互作用、それに依存したアクチンの構造の違いは重要な情報である。カルシウム結合アクチンにマグネシウム結合型と構造の違いをすでに見出しているので、このカチオン依存的なアクチンコンフォメーションの制御機構の解明に進むと思われる。MD計算の方はリン酸の放出イベントが観察できるなど、順調に進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

アクチンのPi放出機構の解明は、現在、このイベントの律速段階がMgからリン酸が離れる過程か、あるいは、バックドアの開閉かを明らかにすることである。
課題Ⅰと課題Ⅱに関して:本年度はアクチンに変異を導入し、変異アクチンの蛋白質レベルでの発現の可否を検討する。また、変異アクチンが得られたら、フラグミンF1との共結晶構造解析を行い、F型の構造を解明し、さらに生化学的な性質(Piの放出や重合)を測定する。変異アクチンの各種解析のために、EnzChekによる無機リン酸放出量とピレンによる重合体量の同時時分割測定系の構築を行う。これに必要な装置である蛍光吸光分光装置(堀場)は手配済みである。変異体の部位は、Piを安定に結合するS14とV159、バックドアの開閉に関連するN111、その制御に関連するR116等である。
課題Ⅲに関して:来年度は、このカチオン依存的なアクチンコンフォメーションの制御機構を解析する。また、ラトランキュリンのソーキング実験を行う。フラグミンF1との複合体のアクチンはF型でリン酸を結合しているが、ラトランキュリンを添加するとフラグミンが結合していてもアクチンはG型になり、リン酸は観察されない。この転移をX線時分割結晶解析によりPi放出過程を追跡する。
課題Ⅳに関して:昨年度、ADPとリン酸が結合しているF型アクチンからMDを行い、アクチンからリン酸が放出されるイベントを見出した。このMDの進行に伴いF型からG型への転移が起きるので、これはGアクチンからのリン酸放出と考えられる。このリン酸放出のパス(側鎖との相互作用)を明瞭にし、エネルギープロファイル等を解明する。また、アクチン線維からのリン酸放出を解明するために、8a2tの構造を用いてシミュレーション行う。放出のイベントを見出すためにメタダイナミックス・シミュレーションを用いる。

Causes of Carryover

昨年度、研究を開始するにあたり新規に購入するものが想定外に生じる可能性を考え、また、次年度への持ち越しが可能であることも考慮にいれ、通常のランニングコストより多めに申請した。計画にもとづいて研究を進めており、研究計画に大きな変更はない。

  • Research Products

    (4 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] アクチンのとりうるコンフォメーション2023

    • Author(s)
      ODA Toshiro
    • Journal Title

      Seibutsu Butsuri

      Volume: 63 Pages: 138~142

    • DOI

      10.2142/biophys.63.138

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] BL2S1で明らかとなった細胞骨格タンパク質アクチンの高精細構造2024

    • Author(s)
      武田修一
    • Organizer
      第12回名古屋大学シンクロトロン光研究センターシンポジウム
    • Invited
  • [Presentation] ゲルゾリンタンパク質フラグミンによるアクチン繊維切断機構2024

    • Author(s)
      武田修一, Linh T. Tran, 小田俊郎, 渡邉信久, 永江峰幸, 藤原郁子, Robert C. Robinson, 成田哲博, 前田雄一郎
    • Organizer
      生体運動研究合同班会議 2024
  • [Presentation] Semi-local conformations of actin molecules2023

    • Author(s)
      小田俊郎
    • Organizer
      日本生物物理学会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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