2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K06197
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
松井 貴英 日本医科大学, 先端医学研究所, 講師 (10827794)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | exosome / extracellular vesicle / endosome / SNARE |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソソームは、細胞小器官であるMultivesicular body(MVB)を由来とする細胞外小胞で、近年、様々な生理機能や疾患への関与が報告されている。細胞からエクソソームが分泌されるには、MVBが細胞膜方面へ輸送され、細胞膜と融合する必要があるが、各ステップの分子機構に関しては多くのことが未解明である。一昨年度に私は、上皮細胞の異なる細胞膜領域(頂端膜と側底膜)からタンパク質組成の異なる二種類のエクソソーム(頂端膜エクソソームと側底膜エクソソーム)が分泌されることを発見した(Matsui T et al. EMBO Rep., 22:e51475, 2021)。さらに昨年度は、上皮細胞内で形成されたMVBが、どのような分子メカニズムで各細胞膜方面へ選択的に輸送されるのか分子基盤の解明を目指し研究を行い、頂端膜方面へのMVB輸送は低分子量Gタンパク質Rab27とRab37が、側底膜方面への輸送にはRab39が必要であることを見出した(Matsui T et al. Cell Rep., 39:110875, 2022)。 今年度はエクソソーム分泌の最終ステップである、MVBと細胞膜の融合過程に着目し、この過程をコントロールする膜融合制御因子SNAREタンパク質の探索を行い、MVB上に局在するVAMP5、さらにVAMP5と結合するSNAP47、細胞膜上に局在するSTX1、STX4を同定することに成功している。興味深いことに、極性化した上皮細胞では、STX1は頂端膜、側底膜に、STX4は側底膜にのみ局在することが明らかとなり、頂端膜と側底膜におけるエクソソーム分泌は、MVBの形成、輸送、細胞膜との融合の全ての家庭において、異なるメカニズムによりエクソソーム分泌が制御されている可能性が強く示唆された。 今研究は2023年度にCell structure and function誌にて論文発表している(Matsui T et al. Cell struc. and func., 48:187, 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は最終年度の論文発表を予定していたが、非常に順調に研究が進展し、今年度中に当研究内容を論文化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは上皮細胞株MDCK細胞を用いて、頂端膜、側底膜から性質の異なるexosomeが分泌されることを明らかにしてきた。今後は、極性を持たない培養細胞(HeLa細胞など)を用いて、一つの細胞から分泌される多様なexosomeを性質ごとに分けて単離、回収する実験手法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
購入予定だった試薬が、販売会社の都合により年度内に購入できなくなってしまったため。 そこで翌年度になり購入した。
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