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2022 Fiscal Year Research-status Report

神経軸索性インポーチンによる細胞質ダイニン制御機構の解明

Research Project

Project/Area Number 22K06220
Research InstitutionUniversity of Fukui

Principal Investigator

水野 克俊  福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (00777774)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsインポーチン / 神経軸索 / 細胞質ダイニン
Outline of Annual Research Achievements

神経細胞における細胞体から神経終末に至るまでの軸索輸送は記憶・学習・情動など高次脳機能において決定的な役割を果たす。インポーチンα (KPNA) やインポーチンβ(IPOβ)は代表的な古典的核移行因子であり、細胞質から核内への基質の輸送により様々なシグナルを核内へと伝える機能を持つ。近年、統合失調症や自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(AD/HD)などの精神・発達障害に核移行因子が関与することが報告されている。また、ストレス顆粒や凝集体の解消にインポーチンがシャペロンとして機能するなど、インポーチンが核移行以外の機能を有する多機能因子であることが明らかとなりつつある。本研究で代表者らは神経軸索中のKPNAの機能に着目した。特に、KPNAファミリーの中でも脳内で顕著に高発現がみられるKPNA1と細胞質ダイニン(以下ダイニンと呼称)との関係に着目し、核移行とは異なるインポーチンの神経軸索における機能の解析を目指し、精神・神経疾患の新たな治療方法開発を目指した。ラットの大腿神経を用いた生化学的解析の結果、神経軸索抽出物に多くの核移行関連因子が含まれていることが明らかとなった。また、KPNA1がダイニンなどの微小管結合タンパク質と複合体を形成する可能性が示唆された。また、蛍光タンパク質との融合KPNA1やKPNB1を作成し、一次培養の神経細胞においてライブイメージングを行った。その結果、インポーチン分子が軸索で活発に輸送を受け、移動することが明らかとなった。疾患と関連する変異を有するKPNA1も検討したところ、特異的な局在を示すことができたことに加え、配列の改変によって改善させることができることが明らかとなった。以上の結果は核移行とは異なる軸索におけるインポーチンの機能と、疾患の原因を考える上で非常に重要な知見である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでの実験で、実験の実施に必要なマウス後根神経節細胞 (DRG)の一次培養および遺伝子導入の系、ならびにライブイメージングを行うための共焦点顕微鏡およびFRAP装置の準備が完了し、すでに実験を開始している。観察の結果、KPNA1を含む多くのインポーチン分子が軸索を活発に輸送されている様子をイメージングすることができた。インポーチンαとインポーチンβ分子の同時観察、さらにダイニン中間鎖やダイナクチン構成因子などとの同時観察からも、動態や軸索での分子間相互作用についても知見が得られた。さらに、疾患と関連する変異をいれたKPNA1の解析を行った結果、異常な局在と動態を示すことが判明した。現在は、これらのデータの蓄積ならびにラットの大腿神経をモデルとした、免疫沈降/プルダウン実験とLC-MS/MSによる質量分析を含む生化学的解析を進めているところである。さらに、本研究成果の学会における発表および論文投稿を準備中である。

Strategy for Future Research Activity

今後は軸索性KPNA1の生化学的特性を明らかにするための解析を中心的に行う。それにより、軸索におけるカーゴの輸送をインポーチンがどのように担うか、分子的実体を明らかにする。手段としては、免疫沈降に加えタグによるプルダウンやショ糖密度勾配遠心法による精製などを想定する。さらに、LC-MS/MSにより注目する複合体の構成因子を網羅的に解析する。さらに、インポーチンへの変異が精神疾患にどのような影響を及ぼすのか、軸索の輸送にとくに着目して疾患の原因についての研究に取り組んでいく。疾患の病因となるのが、KPNA1が有する古典的な核内外への物質輸送に起因するのか、ダイニンとの相互作用など核輸送とは異なる機能が核への異常集積により影響されているのか、今後の解析により明らかにしていく必要がある。

  • Research Products

    (9 results)

All 2023 2022

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (7 results)

  • [Journal Article] Immotile cilia mechanically sense the direction of fluid flow for left-right determination2023

    • Author(s)
      Katoh Takanobu A.、Omori Toshihiro、Mizuno Katsutoshi、Sai Xiaorei、Minegishi Katsura、Ikawa Yayoi、Nishimura Hiromi、Itabashi Takeshi、Kajikawa Eriko、Hiver Sylvain、Iwane Atsuko H.、Ishikawa Takuji、Okada Yasushi、Nishizaka Takayuki、Hamada Hiroshi
    • Journal Title

      Science

      Volume: 379 Pages: 66~71

    • DOI

      10.1126/science.abq8148

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Planar cell polarity-dependent asymmetric organization of microtubules for polarized positioning of the basal body in node cells2022

    • Author(s)
      Sai Xiaorei、Ikawa Yayoi、Nishimura Hiromi、Mizuno Katsutoshi、Kajikawa Eriko、Katoh Takanobu A.、Kimura Toshiya、Shiratori Hidetaka、Takaoka Katsuyoshi、Hamada Hiroshi、Minegishi Katsura
    • Journal Title

      Development

      Volume: 149 Pages: -

    • DOI

      10.1242/dev.200315

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Importin alpha 1/KPNA1は神経細胞遊走を制御する2022

    • Author(s)
      加藤諒大、水野克俊、菅原将樹、野宮廣貴、藤田聡、山田雅己
    • Organizer
      日本生化学会北陸支部会第40回大会
  • [Presentation] KPNAN1/インポーチンα1のマウス神経軸索輸送・神経遊走における新規機能2022

    • Author(s)
      水野克俊、菅原将樹、加藤諒大、野宮廣貴、宮本洋一、岡正啓、疋田貴俊、伊藤貴文、藤田聡、山田雅己
    • Organizer
      第74回日本細胞生物学会大会
  • [Presentation] 神経細胞遊走活性を指標としたKPNA1/Importin α1の新規機能の解明2022

    • Author(s)
      加藤諒大、水野克俊、菅原将樹、野宮廣貴、宮本洋一、岡正啓、疋田貴俊、伊藤貴文、藤田聡、山田雅己
    • Organizer
      第74回日本細胞生物学会大会
  • [Presentation] 軸索輸送におけるKPNA1複合体関連因子の同定と機能解析2022

    • Author(s)
      菅原将樹、水野克俊、加藤諒大、野宮廣貴、宮本洋一、岡正啓、疋田貴俊、伊藤貴文、藤田聡、山田雅己
    • Organizer
      第74回日本細胞生物学会大会
  • [Presentation] 膠芽腫細胞の遊走に対するImportin α1の役割に関する研究2022

    • Author(s)
      山内貴寛、野宮廣貴、水野克俊、菊田健一郎、山田雅己
    • Organizer
      第22回日本分子脳神経外科学会
  • [Presentation] マウスノード不動繊毛は変形の向きを感知して左右軸を決定する: 非対称性を生み出すメカニカルな機構2022

    • Author(s)
      加藤孝信、大森俊宏、水野克俊、石橋岳志、岩根敦子、石川拓司、岡田康志、西坂崇之、濱田博司
    • Organizer
      第60回日本生物物理学会年会
  • [Presentation] マウスノード不動繊毛は変形の向きを感知して左右軸を決定する: 非対称性を生み出すメカニカルな機 構2022

    • Author(s)
      加藤孝信、大森俊宏、水野克俊、石川拓司、濱田博司
    • Organizer
      第74回日本細胞生物学会大会

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Published: 2023-12-25  

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