2023 Fiscal Year Research-status Report
糖質代謝調節が胎児の生殖細胞形成・分化に与える影響とその仕組み
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22K06245
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 陽平 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (00588056)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 始原生殖細胞 / 代謝調節 / エピゲノム制御 / 栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者は、タンパク質の糖付加修飾による始原生殖細胞の形成制御の仕組みを明らかにするため、その標的タンパク質と制御機構の解明を進めた (i)。また、妊娠マウスへの糖質制限食給餌による胎仔始原生殖細胞形成の低下が、タンパク質の糖付加修飾やエピゲノム状態の変化を介したものであるか、またそうだとしたらその影響は生殖細胞分化のどの段階まで維持されるのか、といった課題に取り組んだ (ii) 。 (i) 培養下でマウス始原生殖細胞を分化誘導時に糖付加修飾をうけるタンパク質の同定とその制御機構:申請者は昨年度に、ヒストンメチル化制御因子や転写因子等、始原生殖細胞において糖付加修飾を受けるタンパク質を同定し、糖付加修飾はタンパク質の安定性を増強することを見出した。今年度は、これらの修飾が始原生殖細胞のエピゲノムにどのような影響を及ぼすかを検証し、次世代シークエンス解析により、糖付加修飾の阻害により当該ヒストンメチル化が全ゲノム的に低下することを見出した。 (ii) 妊娠マウスへの低糖質ダイエット給餌による始原生殖細胞形成への影響の解析:低糖質、高脂肪のケトン食餌を妊娠マウスに給餌すると、妊娠マウスの血糖値の低下が見られ、その胎仔の始原生殖細胞形成が低下すること、糖付加修飾およびヒストンメチル化が低下することを昨年度見出した。今年度はこれらの変化が生殖細胞分化のどのような時期まで継続して見られるかを検証し、新生仔期の生殖細胞においてもエピゲノム変化や生殖細胞数の低下が維持されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度には、3年に亘って行う予定であった始原生殖細胞形成における糖付加修飾の役割の解明の大部分を完了し、その結果の論文発表に至った(Hayashi et al., EMBO Rep., 2023)。また、胎仔期糖質制限の影響が新生仔の生殖細胞数やエピゲノムに影響を与えることが明らかになったことから、成体の生殖機能や次世代への影響が発生する可能性が強まり、研究展開の広がりを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
糖質代謝は様々な局面で細胞の機能や分化に重要な役割を果たす。これまでに代表者は、糖付加修飾が、始原生殖細胞の形成期だけでなく、生殖細胞の分化にも決定的な役割を果たすことを突き止めている。今後は、より後期の生殖細胞分化や成体期の生殖細胞の維持における糖付加修飾の役割の解明を進める予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は昨年度までの実験で得られたデータの解析と論文発表が主なタスクとなったため、実験進行は限定的となった。そのため物品費等の出費が当初の想定より抑えられ、次年度にその分を回すこととなった。 次年度は、本研究をさらに発展させ、胎仔期糖質制限が、新生仔以降の生殖細胞の分化や成体となってからの生殖細胞の維持、および生殖機能の発現にどのような影響を与えるかを解析する予定であり、その必要経費として次年度分を使用する。
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