2022 Fiscal Year Research-status Report
植物におけるゴルジ体形成・維持の生理学的役割の解明
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22K06260
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 容子 お茶の水女子大学, ヒューマンライフサイエンス研究所, 特任助教 (10733016)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膜交通 / ゴルジ体 / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物の持つ細胞小器官の中で、物質輸送において不可欠な役割を果たすゴルジ体は、扁平な袋状の膜(槽)が複数重なった、非常に特徴的な層板構造をとることで知られている。この構造は真核生物全体で保存されているにも関わらず、その形成・維持のメカニズムやその生理学的意義はほとんど明らかになっていない。本研究課題では、生細胞でゴルジ体の構造が観察しやすい植物細胞を用いることで、この細胞生物学上の謎を解明することを目指している。研究代表者はこれまでの研究で、植物のゴルジ体層板構造の中でも、小胞体からの入り口である最もシス側の槽が特別な性質を持っており、ゴルジ体形成の際に足場として機能していることを発見して、この膜区画を「Golgi Entry Core Compartment(GECCO)」と名付け、哺乳動物が持つ小胞体-ゴルジ体の中間区画であるERGICに相当するものであると提唱してきた。令和4年度は、このGECCOに局在するタンパク質を特定し、それらの機能についての解析を行った。プロテオミクス解析によって得られた多くのGECCO局在候補因子の中から、実際にGECCOに局在する機能未知のタンパク質を蛍光観察によって確認し、さらにそれがゴルジ体の構造維持に重要であることを示唆するデータを得ている。ゴルジ体で機能するタンパク質の真核生物全体における保存性の高さから、植物だけでなく、細胞生物学分野にとって広く意義のある発見になるのではないかと期待している。また、現在この因子の変異体の単離も進めており、その表現型解析によって、ゴルジ体層板構造が組織や個体としての植物にとってどのような意義を持っているのかを明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GECCOの単離とそのプロテオミクス解析によって得られたGECCO局在候補タンパク質の中から、実際にGECCOに局在し、薬剤処理時にも既知のGECCO局在タンパク質と同様の挙動を示すものの単離に成功した。さらに、まだ予備的な結果ではあるが、その因子がゴルジ体の構造維持に重要であることを示すデータが得られており、期待を上回る成果であると考えている。一方、培養細胞を用いたケミカルスクリーニングについては、半導体不足に起因したインキュベーター納入の大幅な遅れにより、現在まだ細胞の安定した維持環境を整えた段階である。そのため、総合的にはおおむね期待通りであると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
単離したGECCO局在タンパク質のゴルジ体層板構造の形成・維持における機能について、経時的なライブイメージングによってゴルジ体形成のどの段階に重要であるのかを調べたり、電子顕微鏡観察によって膜構造がどのように影響を受けるのかを明らかにしたりと、より詳細な解析を進める。現在進めているゲノム編集による変異体の作出も引き続き行う。他のGECCO局在候補因子も、機能未知なものを中心に解析を行う。現在遅れているケミカルスクリーニングについては、早急に着手する。
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Causes of Carryover |
培養細胞用インキュベーターの入手が半導体不足により大幅に遅れたため、実験経費に余剰が生じた。当該研究計画は次年度より本格的に着手する予定であり、余剰分も同実験に使用する。
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Research Products
(5 results)