2022 Fiscal Year Research-status Report
植物進化過程における転写サイレンシング機能獲得機構
Project/Area Number |
22K06266
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
池田 陽子 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (80467688)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | サイレンシング / エピゲノム / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
トランスポゾンの転移は、転移先の遺伝子に影響を与えることで、個体間の多様性をもたらし進化の原動力となり得る一方、個体の生存に悪影響を与える恐れもある。そのため、生物はそれに対する防御機構としてサイレンシング機構を発達させてきたと考えられる。Plant mobile domainを持つシロイヌナズナMAIN及びMAIL1タンパク質は、プロテインフォスファターゼPP7Lと複合体を形成し転写サイレンシングに関与する因子である。これらの因子は植物の進化過程でトランスポゾンの転移に伴いコピーを増やした後、それ自身がサイレンシング能を新規に獲得した、ゲノム進化上興味深いモデルといえる。最近、MAIN、MAIL1と複合体を構成しサイレンシングに機能するPP7Lに加え、MAIN、MAIL1がコードするPMDとプロテインフォスファターゼドメイン(PP7)が融合したMAIL3と呼ばれるタンパク質がシロイヌナズナに存在し、このタンパク質もサイレンシングに関して機能を持つことが報告された。これらのタンパク質はDNAメチル化など既知の機構とは異なる独立の機構でサイレンシングに関わる事が示唆されているが、その分子機構は不明である。 本研究では、Plant mobile domainタンパク質であるMAIN及びMAIL1, MAIL3の含まれるタンパク質複合体がどのような分子機構で遺伝子やトランスポゾンのサイレンシングに機構しているかを明らかにするため、Plant mobile domainタンパク質の変異体の抑圧変異体の解析を進め、表現型や原因遺伝子の同定を進めるとともに、他のサイレンシング関連因子との遺伝学的相互作用を解析した。またタンパク質間相互作用の解析を進めるための植物体やプラスミドベクターなどの準備を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
変異体の原因遺伝子の同定に時間がかかっており、タンパク質間相互作用の解析を進めるための植物体やプラスミドベクターなどの準備に時間が必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
MAIN及びMAIL1の変異体の抑圧変異体の解析を進め、表現型の詳細な解析や原因遺伝子の同定を進める。また、タンパク質間相互作用の解析を、昨年度構築した複数の系を用い、進める。
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Causes of Carryover |
今年度はタンパク質間相互作用実験や変異体など本研究に用いる植物体の準備等を主に行い、予定していた次世代シーケンス解析等は次年度に行うこととなったため。
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[Presentation] Regulatory system of DNA methylation in Marchantia: a demethylation mechanism distinct from that of flowering plants2022
Author(s)
Ikeda, Y., Nakamura, K., Togawa, T., Nishihama, R., Yamaoka, S., Araki, T., Kohchi, T., Mathieu, O., Yamato, KT.
Organizer
CSHA meeting on Integrative Epigenetics in Plants
Int'l Joint Research